南伸坊 画

私は、学校の勉強というのが、あまりすきじゃありませんでした。どうしてなのかな?と考えるんですが、学校の先生になるような人には「常識好き」の人が多かったからじゃないかと思うんです。

私も、もういいかげん50歳になる大人ですから、非常識なふるまいをされると、カッとなります。「まったく、近頃の若者は、常識を知らない」と憮然とします。

そして、自分も「非常識なふるまい」だけはすまい。非常識なふるまいをして、他人に迷惑をかけ、そのことに気のつかないようなバカ者にはなるまい、と気をつけています。

しかし、私が「常識好き」かというと、全然そうではない。私は「常識はずれ」で「非常識な」「とてもフツーでは考えられない」ような考え方に出会うと、とても喜ぶ。

なぜかというと、面白いからです。それに対して、常識というのは、面白くない。それが初めて聞くことであっても、常識として知らされるのは、ちっとも面白くない。もっともらしいこと、そのように考えるしかないこと、というのは脳ミソに波風が立たない。波風が立たなくちゃあ、面白いはずがありません。

私は、岡田節人先生に個人授業を受けるっていう、とてもゼイタクな経験をさせていただいたんですが、何がゼイタクかといって、岡田先生は生徒を驚かすことが大好きで、つまり、ご自分も驚く、面白がることの大好きな先生だったということです。「エエーッ?」と驚く。ビックリする。これはとても楽しい。脳ミソに波風が立って気持ちいい。科学、サイエンスのいいところって、この非常識なところじゃないか?と思います。

(みなみ・しんぼう/作家)