季刊誌「生命誌」通 巻16号 
花が魅せるサイエンス― 新展示「花の生命誌」:工藤光子
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花が魅せるサイエンス― 新展示「花の生命誌」
 4月1日から、特別展「花の生命誌」が始まった(〜98年3月まで)。
 花鳥風月、雪月花・・・花は自然や四季を代表するものとして、日常生活に深く関わりつつ、人間の精神や文化を培ってきた。近年、遺伝子を探る研究が進められ、今、花のサイエンスは、どんどん面 白くなってきている。花の多様性と個性を、サイエンスはどのようにとらえ、どんなふうにチャレンジしているのか。
小袖
正面ホールにある花のシンボルタワー
 この「花の生命誌」展は、そんな花の研究の世界を、[色][形][進化]に分けて、パネルで紹介している。
 花に惹かれるのは第一にあの多彩な[色]。花びらの細胞の中には、それぞれ特有の色素―炭素、水素、酸素などが組み合わさった複雑な化学物質―がある。あんなにさまざまな色があるのは、色素自体の豊富さに加えて、色素の溶けている細胞の中の環境や、色素がどんな立体構造をとっているかによっても微妙な変化を生じているからだ。真っ青の花―ツユクサの長い歴史をもつ研究。ほかに、細胞での色の違いや、花びらの模様の仕組みに迫った研究も紹介している。
 もう一つの魅力である[形]。形づくりは、一つの細胞=受精卵が細胞分裂していく連続した現象。研究者は一個体が生まれて死ぬ までの、どの時点のどの現象に着目しているのか。ここではそのいくつかを植物の生長に合わせて取り上げた。これらの、個々の研究をつなげて考えた時にこそ、形づくりとは何かが見えてくるのだろう。
 一方、花を理解するためには花だけに注目するのではなく、植物全体の中に位 置づけ、[進化]を考えることも重要である。何もないところに、ある日突然花がつくられたのではないだろう。何かが、変化して生まれてきた花。花は被子植物の生殖器官を指す。そのように花をとらえると、裸子植物やシダ植物との関係がいろいろ見えてくる。そのつながりを形だけでなく、遺伝子で見た研究も紹介する。
 ホール正面には、大きなシンボルタワーが置かれている。花びら染めの着物(4月、10月のみ展示)、花という文字の書、竹を使ったフラワーアート。花を愛するアーティストたちの作品で構成されている。
 見る。視る。観る。―いろいろな楽しみ方をしてください。
正面ホールにある花のシンボルタワー
ギャラリーのパネル
(本誌/工藤光子)
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