○血液型の仕組み
 赤血球の表面には、血液型物質と呼ばれるものが存在する。ABO式血液型に関わるのはA・B・Hの3つの血液型物質で、A型物質とB型物質は、H型物質がそれぞれ変化したものである。
 赤血球の持つ血液型物質と血液型の関係は、以下のようになる。

○血液型の遺伝子
 赤血球も元をたどれば、受精卵から始まった細胞の一つ。両親から受け継いだ1組ずつゲノムに、血液型物質を作る遺伝子も存在する。
 H型物質を作る遺伝子は19番染色体にあり、ほぼ全ての人が共通して持つ。一方H型物質を変化させる遺伝子は9番染色体にあるが、個人によって持っている遺伝子のタイプが違う。この遺伝子には3つのタイプがあり、H型物質をA型にするA遺伝子、B型にするB遺伝子、もしくはH型物質を変化させる機能を持たないO遺伝子のどれかが9番染色体にある。体を作る細胞は両親から受け継いだ染色体を1本ずつ持つので、あるヒトのもつA・B・O遺伝子の組み合わせは以下の6通りが考えられる。
 細胞の中にH型物質を変化させる遺伝子が1つでもあれば十分にその機能が発揮されるので、AAの組み合わせとAOの組み合わせはどちらも「A型」、BBとBOはどちらも「B型」、ABの組み合わせはどちらの遺伝子も働くので「AB型」となる。

○血液型の遺伝
 このように血液型は遺伝子で決定されるが、輸血などで必要な情報はA・B・AB・Oの4つのみで、遺伝子の組み合わせを意識することはほとんどない。しかし血液型の遺伝子はメンデルの法則に従うので、両親と子供の血液型から、遺伝子の組み合わせを推測できる場合がある。例えばともにA型の夫婦からO型の子供が生まれた場合、両親の遺伝子の型はどちらもAOである。O型の子供が産まれるには、O遺伝子を持つ精子とO遺伝子を持つ卵が受精しなければならないが、親の血液型がA型ということは少なくとも1つのA遺伝子を持っているはずだからだ。
 また、親子関係ではありえないと考えられる血液型の組み合わせを推測することも同様に可能となる。例えば、AB型とO型の両親からは、AB型やO型の子供は生まれえない。



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