サマースクール 2017年度の報告

表現を通して生きものを考えるセクター
「展示を企画してみよう!〜テーマは生きものと地球の38億年〜」

「やっぱり、ものって、つくっている時が楽しいじゃないですか。生きものってプロセスですからね。」これは、生命誌研究館の活動を追ったドキュメンタリー映画「水と風と生きものと 中村桂子・生命誌を紡ぐ」の終盤で、音楽劇「生命誌版セロ弾きのゴーシュ」の公演を終えて楽屋に戻った中村館長が語った一言です。

表現セクターのサマースクールに参加した皆さんは、このことをそれぞれ実感してくださったということが、寄せられた感想文から伺えます。このような一つ一つの声を聞かせていただくことは、私にとって、スクールのカリキュラムを編成したスタッフにとって、何よりの励みになります。

表現することは即ち研究する(よく考える)ことであると、私たちは考えています。伝えたい内容は何か、さらにどのように伝えると魅力的な作品になるのかと、主題について具体的な情報を調べて、調べて、素材を何度も再構成して、さらに実際に、自分の手を動かして試行錯誤する中から現れてくる形を探る、それを一人でなく、多様な個が協調しながらこのプロセスを経る。その時、個々が深く考えることになり、そこから、多様な考えの共有の形として作品が生まれてくるのだと思います。前置きはこれくらいにして、是非、スクールに参加した五人五様の報告をお読みください。

村田英克(チーフ)

参加者の感想

生き物のことを通して、人生や哲学についても考える

参加者:S.K.

私は大学で生物学を専攻していますが、研究室にいるとなかなか社会に生き物のことを伝える機会がありません。生き物の営みのおもしろさとか、生命活動の精巧さをたくさんの人に伝えられるようになりたいと思い、このサマースクールに参加しました。

サマースクールでの課題は「生き物と地球の38億年」をどう表現するかというものでした。2日間という短い時間でしたが、様々なバックグラウンド、様々な価値観を持つ人と生き物について話すことができてとても新鮮でした。38億年の歴史を改めて眺めてみると、自分が長い、長い年月の上に今ここにいるのだと感慨深い気持ちになりました。また、今回皆さんとお話しする中で、「唯一無二の存在である」ということや「生き物は生きている限り、必ず何かと繋がっていて、孤独にはなり得ない」という、今後生きていく上で支えになるような言葉を得ることができました。

このサマースクールで、生き物のことを通して、人生や哲学についても考えるという貴重な体験ができてとても幸せでした。スクール生の皆さんとサポートしていただいた、表現セクターのスタッフの皆さんに感謝いたします。これからも時々立ち止まって、生き物について考えるということを忘れずに生きていきたいです。

生きものの進化の過程は私達の人生と通じる部分がある

参加者:E.K.

私が生命誌研究館に興味を持った理由の一つは、生物学は専門分野として学ぶ意味合いが強かった私にとって、「生きものから学んだことを通じて自分自身の生き方や社会について考える」という姿勢がとても新鮮だったからです。今回のサマースクールを通して、生きものがこれまで歩んできた進化の過程は私達一人一人が歩む人生と通じる部分があるなと実感し、以前一人で展示見学した時よりも上記の姿勢に対する理解が深まりました。興味深い講義や作品づくりのための準備・サポートをしてくださった表現スタッフのみなさん、そして共に生きものについて語り合い様々な視点を教えてくださった参加メンバーのみなさんのおかげです。本当にありがとうございました。

とてもワクワクした気持ち

参加者:M.K.

当初は、文系クラスにいることもあってサマースクールに応募しようか迷っていたのですが、2日間を終えて思い切って応募してよかったと思います。

普段、高校生活の中では同級生や他学年の生徒など年の近い人と話す機会は多くありますが、年上の方々と話し合い、何かを作り上げるということはめったにない経験で、非常に勉強になりました。昼食時間にはほかのラボの人とも話す機会があり、ほかの方々の意見や考えに、自分なりの新たな視点を持つことができたように感じました。

また、38億年の歴史の中で生き物が辿ってきた軌跡をわずかながらみることができ、実際にその上をあるくことができる展示の計画をくみ上げて実際に展示物の模型を作る過程が、本当に展示を作るような勢いでとてもワクワクした気持ちになりました。楽しく作ることができたからこそ、面白いものができたきがします。

緑陰読書の日々

参加者:E.K.

サマースクール、楽しく充実した二日間でした。啓発され帰ってからは、生命誌の英知を鍵に、『正法眼蔵』を読み解こうと緑陰読書の日々を過ごしています。
「自分とは何か」クマゼミの声も心地よく、ここはアグリーメントの手続きもいらない哲学の世界。ただ、表現セクターで学んだ習性なのかな「共通の心であって同時に一人ひとり個々別々の心」という概念をどう造形表現できるのか?ウーン。と、ついつい考えている私なのです。

自由に“妄想”

参加者:T.M.

数か月前、館長の著作「生命誌とは何か」を読みました。生命進化の長い時間と広い空間の中に自分を置く時に感じる気持ちや、自分は自然の中にあるという感覚を深めたくて参加しました。常識的には知識と感覚は共存しないかもしれませんが、生命科学を学び、生命の美しさや巧みさに感動する気持ちを積み重ねたら、生きものに対する感覚や感性は育つと思うからです。今回のテーマは「生きものと地球の38億年」です。最初はどうしていいか分からない状態から始まって、スタッフの皆さんの準備とご指導と多大なサポートのおかげで、みんなで力を合わせて、発表会ギリギリに「体感型:生命誌のトンネル」が完成しました。作業が佳境に入った2日目の午後はすごかったと思います。同時に4〜5個の作業を、みんなが手分けして助け合いながら進めていました。その時のスタッフさんのサポートは、もう匠の技の領域だと感じました。みんなの欲しい物がすぐに出てきました。アイデア出しでは村田リーダーの言葉「自由に“妄想”して下さい」が心に響きました。妄想が過ぎて睡眠不足になりましたが、こんなに夢中になれたのは久しぶりでした。製作過程では、何もない白紙の状態から試行錯誤しながらアイデアが形になっていく楽しさを経験できました。西川先生のお話で、もし、RNAの集団が過酷な地球環境の変動の中で、長い時間を過ごしたらどんな形が生まれるのだろうか…“妄想”は尽きません。終了後、このソフトを作って欲しいと言って下さった方がいたのは嬉しかったです。発表は緊張しましたが、チームの達成感を感じました。とても楽しい体験をさせて頂き、ありがとうございました。

これまでのサマースクール

  • 2017年度
  • 2016年度
  • 2015年度
  • 2014年度
  • 2013年度
  • 2012年度
  • 2011年度
  • 2010年度
  • 2009年度
  • 2008年度
  • 2007年度
  • 2006年度
  • 2005年度
  • 2004年度
  • 2003年度
  • 2002年度

新着情報

ページの先頭へ