サマースクール 2016年度の報告

DNAから進化を探るラボ
「DNAの塩基配列を比較して生きものの進化の歴史を探ってみよう」

今年のサマースクールは、中学生5名と一般の方1名、合計6名の皆さんを迎えて行いました。今年も昨年と同様、参加者の皆さんに興味のある生物を持参して解析を行いました。当日サンプルを忘れた参加者もいらっしゃいましたので、サンプルの持参について、サマースクールの直前に改めて確認が必要であることが分かりました。

今年は結果的に、昆虫類5種(アリ、ハチ、オサムシ、コオロギ、シミ)、昆虫類以外の節足動物3種(エビ、クモ、ムカデ)と貝類(アサリ)1種、合計9種のサンプルの解析を行いました。参加者が持ってきてくれたアサリのサンプルは節足動物の外群として系統樹作成に用いることができました。

これまでのサマースクールのスケジュールでは、1日目は午後から始まっていましたが、今年は例年より早く午前から始まっていました。いつもより余裕があるはずと思っていましたが、2日目の午後のデータ解析と報告準備はやはり相当慌てていました。参加者の皆さんに解析結果を解釈する時間が取れず、残念でした。しかし、報告準備の合間には、参加者の皆さんから「系統樹のブートストラップ値の意味」や「なぜDNAを使っても解明できないことがあるのか」など結果の解釈に関わるようなご質問を多く受けました。来年は、まとまった結果解釈の時間が取れるように、2日目の実験の一部を1日目に持って行けないかを検討してみたいと思います。

最後になりますが、参加者の皆さんの感想文を拝見しますと、皆さんが今回のサマースクールを楽しんで頂いたようで、何よりです。今回の体験を今後どこかで生かして頂けることを期待しております。

蘇 智慧(研究員)

参加者の感想

遺伝子解析を用いても必ずしも生物の系統が明確に決まるとは限らない

参加者:K.I.

遺伝子関係の本を読む際に「遺伝子解析を用いても必ずしも生物の系統が明確に決まるとは限らない」という話を見かけます。いろんな生き物のDNAの中でも特に共通点の多い部分を比較するだけなのに、どうして多様な結果が出てくるのか、という素朴な疑問がきっかけで、「DNAから進化を探る」ラボに参加させていただきました。

遺伝子解析に移る前に、参加者の持ち寄った生き物(昆虫を中心にクモ、アサリ、エビなど)の特徴から系統を推測し、解析結果と、実際に今採用されている系統とも見合わせました。参加者同士で意見が違ったり、全員の予想と解析結果が違ったり、さらには解析結果と実際の系統が違ったりと、ごく一部のDNAに着目しただけでもずいぶんと幅がありました。

また、解析結果自体も、機械で判別できずに人の目で選択しなければならない部分があり、実験者のスキルの重要性を感じました。

実験の合間に他の実験室の様子も見学しました。屋上にある植物園で、低いところを飛ぶ種類の蝶が、普段飛ぶ高さよりもはるかに高い植物園を見つけて、どこからともなくやってきて卵を生んでいく話が印象に残っています。

普段は扱えないような実験器具

参加者:K.S.

自分は今回のサマースクールに同級生の友達から勧められて参加しました。初めは緊張していましたが、メンバーやスタッフの方々がとても親切だったので楽しく2日間過ごすことができました。実験では普段は扱えないような実験器具を使うことができたので、とてもいい経験になりました。実験結果や発表では納得いかない内容になってしまった部分もありますが、とても楽しく学べました。今回のサマースクールで学んだことを今後の活動に活かしていきたいです。最後になりましたが、生命誌研究館の皆様ありがとうございました。

DNAの仕組みを深く理解

参加者:S.M.

サマースクールに参加させて頂きどうもありがとうございました。短い二日間でしたが、普段は使用しないような道具や機械などに触れることができ、有意義に過ごすことができました。当日サンプルを忘れてしまいましたが、蘇ラボの皆様のおかげで3つも担当する事ができました。そして、丁寧に教えていただき、DNAの仕組みが深く理解できました。本当にありがとうございました。

高レベルな実験を体験

参加者:R.F.

私は絵本の『せいめいのれきし』(バージニア・リー・バートン作)が大好きで生き物に興味を持っています。JT生命誌研究館のサマースクールの案内を偶然、群馬県立昆虫の森で見つけた時は、こんな面白そうな研究を体験出来たらどんなに楽しいだろうと思い応募しました。学校では絶対に出来ないような高レベルな実験を体験させて頂き本当に楽しい二日間でした。実験の結果は予想と異なっていたり、系統樹の考え方が難しく理解しきれない部分もありましたが、生き物への興味が深まりました。研究発表会ではとても緊張してしまいうまく話せず反省することばかりでしたが、他のグループの研究内容も興味深くとても勉強になりました。自分自身の基礎知識をもっと増やして、再度参加したいです。本当にありがとうございました。

自ら仮説を立て実験を行う楽しさ

参加者:T.K.

私は『DNAから進化を探るラボ』に参加しました。

DNA増幅装置や電気泳動装置など、中学校では触れることができない本格的な機械が目の前に並び、驚くとともにそれを使えることを大変嬉しく思いました。もちろん実験の内容は簡易ではなく、一つの手順を踏んだときその行為にはどういう理由があるのかなど実験中に様々な疑問が浮かびましたが、ラボの研究員の皆さんが丁寧に説明して下さり、丹念に理解をしながら実験を進めていくことができました。

実験を始める前に参加者が1人ずつ系統樹を予想しました。結果としては私の予測とは違うものになってしまいましたが、自ら仮説を立て実験を行う楽しさを見出せました。

ランチパーティーでは普段関わることのない年代の方とも会話を楽しむことができ、良い思い出になりました。

最後になりましたが生命誌研究館の皆さん、本当にありがとうございました。今回の実験の遂行を自信に変えて今後も励んでいきたいと思います。

「点」を打つこと、「線」で結ぶこと

参加者:T.K.

最も感激したのは、たくさんの最新の実験器具でした。厳密で正確に計測するための器具を使っての実験は心躍りました。たくさんのことを学ぶことが出来ました。しかし、中村先生は「ここは実験だけをする場所ではなく、生命とは何かを考える場所です」とおっしゃいました。僕はサマースクールを終えて帰りの新幹線のなかで、そして家に帰ってからも、ずっと中村先生がおっしゃったことについて考えました。僕はひとつの考えを出しました。

あの二日間で行なったことは、いわば作業であり、例えるなら、真っ白い紙に「点」を打っただけ。必要なのは、どうやってこの作業を「生命とは何か」という問いの答えに変えるかです。そのためには、「点」どうしを「線」で結ぶことだと考えました。サマースクールでの体験をきっかけに、その線をたくさん引くことこそが生命の多様性について考えることではないか。中村先生から今回いただいた問いに対する僕の答えです。

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