サマースクール 2015年度の報告

表現を通して生きものを考えるセクター
「食草園から生きものの物語をつむぐ」

食草園は、生命誌研究館の4階にある空中庭園。チョウが蜜を吸う花と卵を産む食草が植えてあり、チョウが訪れ、それを人々が楽しみます。そして研究員が食草やイチジクを育てる研究の現場でもあります。そんな日常と研究をつなぐ食草園をどのように表現し、伝えるか、それが今回のテーマでした。スクール生は高校生からシニアの方まで幅広い年代の4名。さまざまな仲間が、同じ目標に向かって2日間突っ走るのがサマースクールの醍醐味です。

まずは食草園を実際に訪ねます。植物に親しむ時間も予定していたのですが、夏真っ盛りの炎天下でさすがに断念しました。その分、食草園のイメージが膨らむように表現スタッフから、それぞれの食草園との関わりや思いを伝える時間をつくりました。そしていよいよ研究のお話を尾崎研究員に聞きにラボへ。チョウチョの種分化と食草の関わりについて、興味津々のスクール生の質問攻めに尾崎研究員もたじたじでしたが、未公開成果も飛び出し、研究の最先端に触れる時間となりました。そしていよいよ何を表現するかを考えていきます。

チョウチョの種分化はまだ研究途中の問題です。ゲノムとか言葉も難しいけれど、チョウチョの幼虫が特別な葉しか食べられない「なぜ」を納得するのも意外に難しいのです。種分化するときには今食べている葉もこれから食べる葉も両方が食べられるのではないか。疑問をぶつけ合いながら、表現したいことを追求します。思いきり考えて、考えて、考えきったところで制作です。悩んだ末に、モビールで表現してみようと決めて1日目が終わりました。

2日目はひたすら制作です。食草園のなかで気になる植物を思い思いにつくり、白いハレパネがみるみるうちに食草園のジオラマになっていきます。ランチの自己紹介を気にかけながらもひたすら手を動かします。午後はそれぞれの「なぜ」思いをモビールにしていきました。「キーンコーンカーンコーン」のチャイムで始まり、全員起立で始まった模擬授業をイメージした発表は、最も「スクール」らしかった一コマかもしれません。科学で「なぜ」は解けませんが、表現の真ん中は「なぜ」なんだと私自身も考え、一緒に学ばせていただきました。スクール生の皆さん、またいつでも「母校」を訪ねてください。

平川美夏(スタッフ)

参加者の感想

縦横無尽に科学してみたい

参加者:K.H.

生命誌研究館「食草園」の表現の可能性は無限にありますが、参加者の興味や思いを共有して、それぞれの視点を生かせる成果物を考える、という過程が楽しかったです。幅広い世代4人のあれこれが入り交じったおもしろい作品ができました。チョウと植物の関係を学べたことも、ありふれた自然の最先端の研究を通じて、ありふれたわたしたちの日常が違う意味をもつことに気づいたことも、うれしい体験でした。

また、学説は「いま」分かっていることで、「まだ」分かっていないことがたくさんある、「正しい」とされていたことが「誤り」とされることがある、という西川さんや尾崎さんのお話がおもしろかったです。自然について、生きものについて、人間について学ぶことは尽きず、なぜ?やどうやって?を縦横無尽に科学してみたいと思いました。

「ストーリーの大切さ」を実感

参加者:A.M.

私たちには「食草園を表現する」というミッションが与えられました。最初は面白さを追求するがあまり、ゲームなどの表面的な興味関心の強い提案をしていました。しかし、スタッフのみなさんの「もう一度何を伝えたいのかストーリーを整理しましょう」との助言をいただき、最終的には造形物であるモビールで食草園を表現することになりました。

正直、表現方法が決まったとき、モビールでの表現には、あまりしっくりきませんでした。しかし、作品を作り上げていく過程で、自分の知識や認識や何を課題としているのかなどが不確かなことに改めて気付かされ、何をしたかったのかがより深まっていくことを感じることができました。表現することは受け取る側だけでなく、発信する側の気づきになることをあらためて理解することができました。
この2日間で得た最大の気づき。それは表現における「ストーリーの大切さ」です。

他者に何かを伝えるとき、伝える本人が「何が疑問のはじまりなのか」「何を伝えたいのか」「何が見えているのか」「何が課題なのか」などをはっきり理解し、1本の道筋として描くことができるならば、より効果的に伝わることを気づくことができました。

また、機会があれば、ゆっくりと見学させていただければと思います。2日間、ありがとうございました。

表現することの難しさ

参加者:K.K.

初めてのサマースクールということでとても緊張して参加しました。他の参加者の方々は全員年齢が違い、自分が最年少ということでとても不安でしたが、参加者の方々には優しく接してもらえたので安心しました。今回は、食草園をテーマに一つの作品を作るというものでした。作品案を考えているときに表現することの難しさを大変実感しました。なぜなら、初めて見た人が理解してもらえるようにしなければならないと考えると、どうしてもいいアイデアが出てこず、非積極的になってしまったことに後悔しています。しかし、これを経験にこれからの人生ではこのようなことがないようにしたいです。参加者の方々や生命誌研究館のスタッフの方々のおかげで一つの作品ができた時は、とても嬉しかったです。この2日間でとてもいい経験が、できました。

たくさんの???

参加者:K.I.

花の色、形、味、香などについて、
いつ、だれが、なぜ、どうして、
その形など選択したのか? 

約2000日後に、また来たい・・・

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