サマースクール 2015年度の報告

ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ
「遺伝子で細胞接着を調べよう」

今年は、「遺伝子で細胞接着を調べよう」というテーマで2日間の研究活動を行いました。本来3日間かけて行う実験であるため、サマースクールでは取り上げにくいテーマなのですが、1)遺伝子がもつ活性を直接目で確認ができること、2)細胞の性質に注目できることなど、初めての方にとって面白い点を多く含んでいるので、是非とも今年はこのテーマでやってみたいと思いました。実験は、カドヘリンと呼ばれるタンパク質の遺伝子をショウジョウバエの培養細胞に導入し(1日目)、その細胞の接着性を調べる(2日目)というものです。

生徒は2名の中学生を含む4名でした。2名ずつのチームを作りましたが、試薬と器具を共有するためで、生徒それぞれが独立の実験を行いました。実験のデザインは少し複雑だったのですが、みんなしっかりと理解できていたように思います。一番心配していたのは、熟練を要するDNA (遺伝子) の沈殿を作るステップですが、全員うまくできたので安心しました。2日目に、期待通りに遺伝子の発現が確認され、細胞の接着性を調べるための細胞集合実験もうまく行きました。自分で顕微鏡を操作して細胞を観察し、実験結果を自分で写真に撮りました。

1日目の後半に空き時間ができて、中学生2人はショウジョウバエの幼虫の解剖をし、他の生徒とは質問を受けながら研究の話をして過ごしました。今回一番大事な時間だったかもしれません。

研究は本来、自分自身の発想で試行錯誤しながら新しい発見に行き着くものなので、今回のスクールでそれを教えることができたかというと自信がありません。それでも研究者と2日間過ごした中で、生徒それぞれの探究心が刺激されたならうれしく思います。

小田広樹(研究員)

参加者の感想

実験に没頭した2日間

参加者:T.O.

僕は小さいころから昆虫が大好きでしたが、昆虫と深く関連のある実験を行うラボをあまり見聞きしたことがなく、そのようなラボがあればどれだけうれしいだろう思っていました。BRHのサマースクールのことを知り、行ってみたい、やってみたいと言う気持ちで応募しました。遂にその日が自分に訪れることを知ったときは心が躍りました。

実験と言っても、中学生が学校で行うような実験とは全く別物でした。どこが違うかというと、まず実験器具です。僕たちが行った実験では、ミジンコやゾウリムシの様に普通の顕微鏡で見ることが出来るような大きさのものを扱いません。もっとはるかに小さいもの「DNA」を扱いました。このように分子のレベルになると高額な実験器具や実験機器が必須になるのかと思いました。そして、そんな大事な実験道具の使用を許してくださったことに驚きながらもうれしく思いました。

また、先生をはじめ、僕の実験のサポートをして下さった研究員の方がたが、細かく指導してさったり、僕の質問等にも丁寧に答えてくださいました。研究室の雰囲気もとても良く、研究に没頭できるような環境だと感じさせられました。

二日目の最後には研究発表があり、僕はそこで自分が感動し一番面白いと思った「ハエの幼虫の解剖」について発表しました。この解剖というのは、集中力が必要とされましたが、顕微鏡を覗きながら行っている間は時の流れを感じませんでした。形のある、しかし極めて小さい組織を見つけたときは感動しました。この実験を通して生物に対する考えや思いやがいっそう深まり、また新しい疑問も沸いてきました。

2日間があっという間に過ぎました。貴重な経験をさせてくださったこと、楽しい時間が過ごせたことに心から感謝します。ありがとうございました!

サマースクールに参加して

参加者:M.M.

「ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ」に参加させてもらいました。実習が「遺伝子で細胞接着を調べよう」という小田広樹さんの説明を聞いて、ビビッてしまいました。ショウジョウバエの培養細胞に、くっつく性質をもつ"カドヘリン"遺伝子を導入して、その細胞がくっつく性質をもつかどうかを調べた。今だから、そういうことをしたんだなあ、としみじみ思い返せます。中学生の男の子といっしょにしました。こともなげにしていました。ぼくは、研究員の方に手とり足とり、冷や汗にまみれてやりました。顕微鏡で経過を観察しながら、実習を最後までやることができました。その間、小田研究室の人たちが、顕微鏡室が暑いからとみんなでウチワで扇いでくれたりしました。ど素人のぼくらを、こんなにして受け入れてくれるんだなあと感動しました。

最終日の研究発表会で「道端で毛虫がつぶれているのを見て、汁がでていると思ってたけど、今回ハエの幼虫を顕微鏡で見て、それはいろいろな内臓だったんだと知りました」といっしょに参加したOくんから聞きました。すごい、発見だと思いました。

ぼくは、苦しまぎれに「カドヘリンのメカニズムと人間社会の間」というテーマで少し話しました。細胞と細胞の話を、人間と人間の話に短絡させるのは科学的でないかもしれません。人間社会への夢が湧いてきたということかな。生命誌研究館で研究されている方はもちろん、スタッフの方々、掃除をされている方々まで、温かい何かがかもしだされているなあと感じました。20年かけて、培ってきたものでしょうか。
ありがとうございました。

多くを感じ、感動した2日間

参加者:Y.K.

受け入れてくださったラボの小田さん、秋山さん、 野田さん、岩崎さん、ありがとうございました。進行係りの藤井さん、立食のお食事会のときにお話してくださった西川さん、中村さん、そして研究館の皆様、本当にありがとうございました。JT生命誌研究間で体験できたことは本当に貴重で、楽しくすばらしい時間となりました。今後の自分の考えや感じ方が深まる予感でいっぱいです。二日目の最後、プレゼンで感動したこと、伝えたかったことが、発表できませんでした。感想文なのではありますが、書かせていただきたいと思います。

まず、参加したラボの研究内容のカドヘリンに対して、細胞と細胞をくっつける役割そのものの遺伝子があることに感動しました。くっつける、という性質からいろんな可能性が考えられ、はるかな祖先を紐解いても行けることにどきどきします。そして、謎も湧き出しました。一つの種類のカドヘリンはどれくらいの数の遺伝子とくっつきあるのだろう?逆に離れることもできるのだろうか?生き物の形、多様な環境に合わせて、カドヘリンの量や遺伝子の長さも変わったと思うが、その決定をしたものはなんなのだろうか?などです。

そして、研究というのは、その現象の真実を突き止めるために、いろんな角度から考え、丁寧に実証していくこと。そのための作業を地道にすることが必要なんだと感じました。また、その作業をさせていただき、感じたことは、結果を得るための道のりも、結果と同じくらい大切であるということです。すべての工程が無駄が無く作業自体に美しさを感じました。どんなお仕事で使われる道具や、設備も同じとは思うのですが、つかわれている設備、道具もうつくしいなぁ、と感じました。特にピペットは楽しく、こんな道具があるんだ、と感心しました。道具というのは使われる目的と人間の動作によって、形と仕組みがきまってくるんだなぁ・・と感じて心地よかったです。まるで、研究で感じたことと通じるなぁ、と不思議です。これでコーヒーやココアなんかつくれるかな・・と空想してしまいました。昔ながらの手動の遠心機は、愉快でほしくなりました!必要な作業のための道具はそれぞれ歴史があるのだな、と感じます。秋山さんが中国の研究者に見せたら、今は電動の遠心機があるのに、「こんな便利なんだな!置いて帰ってくれ」と、頼まれたというお話は愉快でした。他にも小田さんが生き物の内に働くカドヘリンの可能性を豊かに惜しみなく教えてくださったのにも、感動して楽しかったです。またお聞きしたいくらい、わくわくしました。

また、解剖の時間では、どんな小さな生き物でもきちんと形と習性があって、形は習性、生き様を表し、その習性に則り暮らし、確実に生きているのだ、と思いました。その生き物の形やあり方にもカドヘリンは作用しているのだろうか、とも思いました。また、ハエの幼虫の解剖だったのですが、幼虫の頃から成虫の組織を宿す成虫原基という仕組みには鳥肌が立ちました。興味深いです。

岩崎さんからクモのお話も聴いたのですが、卵のうちに前と後ろが決まり行くこと・・何もないように見える卵から、在りようが生まれていくことの不思議・・。また、ハエはお母さんのおなかの中にいるときにこの現象が始まると岩崎さんのお話で知りました。クモはどこか悠々としてて、思慮深く、ハエはとかく動いて元気・・・この現象の発生の早さに習性と性格が起因しているかも、という考察など・・。不思議ななんとも言えない気持ちになり、楽しくわくわくしました。

また西川さんの講義には純粋に「どうしてだろう?」と思うことの大切さを教えていただきました。わからないことは不安で無力なことではなく、むしろ大切な「気づき」という力を宿し、先へ進む可能性を秘めた心であること、そして自らがそこに依って、則って行動していく自主性。それが科学、という考え方なんだ、とおもいました。

少し、お時間をいただきました中村さんとのお話は・・生き物・・命の流れは、ただ欲や生命本能だけの勝手な流れではなく、自らを育み、そして互いに生かしあいはぐくみあう、みんなで生きていける基盤が、底支えにある流れなのかなぁ、とかんじました。

このように、多くを感じ、感動した2日間でした。これから、いろんな考えをたくさん考え、体感し、自分ながらに試したり、知ろうと思います。このような機会を与えてくださり、ありがとうございました。本当に、実り豊かな時間でした。感想がとても長文になってしまい申し訳ありません。本当に本当に、ありがとうございました!

実験の面白さを味わった

参加者:H.N.

僕は、ラボで多細胞生物の細胞接着について実験しました。僕は実験1の担当だったので、実験1の内容はとてもよくわかりました。しかし実験2は、ほかの人の担当だったので、実験結果から何が言えるのか、あまりわかりませんでした。面白かったことは、とても大きな顕微鏡で、細胞や、光る細胞を見たことです。また、ハエの幼虫を、ハサミやピンセットを使って、切ったり、ひっくり返したりすることも面白かったです。西川さんの話では、物事を科学的に説明することの難しさがわかりました。とても楽しい2日間だったのでまた、参加したいと思います。

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