サマースクール 2004年度の報告

DNAから共進化を探るラボのサマースクール
「DNAの塩基配列を調べて生きものの進化の歴史を探ってみませんか?」




今年のサマースクールは、一昨年と昨年に続き、葉緑体DNA塩基配列を比較して、植物のイチジクの系統関係を調べるのが目的でした。さらに、それらのイチジクに花粉を運ぶイチジクコバチの系統関係と比べて、両者の共生関係を理解してもらい、生きものどうしがお互いをこんなに必要としている、ということを分かってもらえたら、なお良いと考えました。

具体的な実験は、イチジクの葉から全DNAの抽出、PCR法による目的の葉緑体DNA断片の増幅、増幅されたDNA断片の塩基配列の決定、塩基配列の比較と系統樹作成を含んでいます。一日半の日程でこれほどの実験過程をこなすのは、昨年の経験から見てもそう簡単なことではなく、失敗を繰り返すと時間的には絶対無理だろうと分かっていましたが、朝晩の時間を少し延長して、出来る限り全過程を体験してもらうことにしました。私たちのラボには、今年も4名が参加してくれました。中学3年生の女の子1名と一般の方3名で、1種類ずつのイチジクの解析を担当してもらいました。

一日目の昼から実験が始まり、まずイチジクの葉を液体窒素で凍らせてすりつぶし、クロロホルムを使ってDNAの抽出を行いました。普段見たことのない液体窒素が葉を一瞬で凍らせてしまうことを、皆さんがかなり楽しんでいたようです。DNA抽出液が入っているチューブにクロロホルムを入れて、遠心した後、DNAが含まれる水層とクロロホルム層が分かれるのですが、そのDNA層を新しいチューブに移すのが最初の難関でした。1人が失敗してやり直しましたが、他の3人はとても上手にできました。特に中学生の女の子は非常に優秀でした。DNAの沈殿が見えたとき、皆さんは自分の手でDNAを抽出することができた実感を味わうことができたと思います。その後、各自が抽出したDNAの一部を使って葉緑体DNAを増幅するPCR反応を行うため、DNA増幅装置にかけ、初日の実験を終えました。実験は段々細かくなり、扱う量もmlからμlへと微量になっていくため、使用する道具も次々と変わっていきました。初日の実験が終わったころには、皆さんはピペットマンなどの使い方をほぼマスターしていました。

翌日は、まずPCR実験でDNAが増えたかどうかをアガロースゲル電気泳動で確認することを行い、紫外線の下で光るDNAを実際に見て感動してもらいたかったのですが、少し残念なことに、DNAの量が少なく、微かにしか見えませんでした。反省材料です。しかし、その後の実験はとても順調に進み、4人とも綺麗な塩基配列を得ることができました。その塩基配列を比較しながら、皆さん「自分のは誰のと一番近いのか?」と、系統樹の結果を楽しんでいました。結局、実験で時間をぎりぎりまで使ってしまい、まとめの時間があまり取れませんでした。研究発表は、ほとんど生のデータで行いましたが、良くまとめてくれました。発表会が終了した後、皆さんはまた研究室に戻られ、長々と話を続け、なかなか研究室を離れようとしませんでした。もうここは自分たちの居場所のように、すっかり研究室に馴染んでいました。

蘇 智慧(研究員)

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