研究員レクチャー

JT生命誌研究館の研究員が月に1回づつ、現在おこなっている研究について話します。
【入場無料・予約不要】

研究員レクチャー2015年度

第7回

日時
2015年12月19日(土)14:00〜
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
西川 伸一顧問
タイトル
歴史とゲノム
内容

文字の記録のない時代を、DNAに残る記録から再構成する(Wikiコモンズ)

ヒトゲノムが解読されて10年が過ぎようとしている。当時全世界が協力し、2000億円の費用がかかったヒトゲノム解読は、今や10万円でできる。すなわち、皆さんの誰もが自分のゲノムを読むことができる時代が来て、21世紀はゲノムの世紀になる予感がする。ゲノム解読がこれほど簡単になった背景には、次世代シークエンサーという技術があるが、この技術により大きく変化している分野が医学と歴史学だ。ゲノム解読技術が医学を変革することは皆さんも十分納得できると思うが、これまで医学や生物学とは無縁の分野だった歴史学がゲノム研究でどう変わるのか不思議に思われることだろう。
 そこで今回の生命誌の日レクチャーは、ゲノム研究により大きく変革しようとしている歴史学を取り上げ、今この分野で何がどう研究されているのか紹介したいと思っている。

第6回

日時
2015年11月21日(土)14:00〜
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
和智 仲是 研究員(DNAから進化を探るラボ)
タイトル
たくさんのDNA塩基配列を用いた進化遺伝学
内容
 外見でわからなくてもDNA塩基配列を比較することで、その生き物の種間や集団間の類縁関係がわかることがあります。生き物のいろんなレベルの類縁関係がわかることで、その生き物が時間的•空間的にどこから来たのかという進化史についての問いに答えることができます。このような分子系統学と集団遺伝学を合わせた研究分野は進化遺伝学と呼ばれます。これまでは、ゲノムのたかだか数十カ所のDNA塩基配列を比較して生き物の類縁関係が調べられてきました。それが、DNA塩基配列決定の技術の進歩に伴って、これまでの数百倍•数千倍の効率でゲノムを網羅的に調べ大量の情報を得ることができるようになりました。
 様々な生き物のゲノムから大量のDNA塩基配列の情報をどうやったら効率的に得ることができるでしょうか。これまでに開発された方法を紹介するとともに、その中で実際に行った手法で明らかになりつつあるイチジクコバチの種間•集団間の関係やヤスデ・ムカデの類縁関係についてお話します。

第5回

日時
2015年09月19日(土)14:00〜
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
吉澤 靖貴 研究員
(チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ)
タイトル
ナミアゲハの幼虫はどのようにして食草を見分けるのか?
内容
 鱗翅目(チョウやガの仲間)は昆虫の中で2番目に種が多いグループで、約16万種ほどが知られています。それらの幼虫のほとんどは植物を餌とし、多数の植物の中から自身の食草を見分けることができます。私たちが研究しているチョウが一生の中で食草を選択するタイミングは2回あります。成虫が食草に産卵するため前脚で植物の味見をするとき、そして幼虫が餌となる植物を口の周りの器官で見分け食べるときです。この事から、新しい食草に適応し生活の場を広げる(食草転換)には、どちらか一方の食草選択の仕組みが変化すれば良いのではなく、両者の仕組みが順序よく適応した形に変化していく必要があると考えられます。加えて食草選択後に、成虫は交尾相手の選択、幼虫は消化・解毒などさまざまな過程をクリアすることも重要です。チョウは植物との関わり合いの中でどのようにして食草転換や種分化が起こり多様化したのでしょうか。
 今回のレクチャーでは、ナミアゲハの幼虫がどこで、どのような味を感じ食草を見分けているのかを実験結果を交えながらお話します。

第4回

日時
2015年06月20日(土)14:00〜
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
原田 綾乃 研究員(カエルとイモリのかたち作りを探るラボ)
タイトル
脊椎動物の頭部はどのようにして作られてきたのか?
内容
 背骨を持つ動物である脊椎動物は,脳や頭蓋骨・外部感覚器官などからなる複雑な頭部構造を持っています。無脊椎動物には、このような独特な構造がなく、脊椎動物を特徴づける構造の一つでもあります。現在では、進化の過程で獲得した特殊な細胞集団が複雑な頭部構造を作ったと考えられており、これらの細胞集団を有するかどうかが、脊椎動物であるか否かの一つの物差しとなっています。しかし、脊椎動物がどのようにしてこの細胞集団を持つようになり、独特な頭部を作ることができるようになったのかについてはまだまだ謎が多く、脊椎動物の頭部の獲得を明らかにすることは脊椎動物の出現や進化の道筋を明らかにするための重要なテーマとなっています。
私たちは個体発生の過程でこの細胞集団がどのように生じるかを知ることに、脊椎動物の出現という大きな謎に迫るヒントが隠されていると考えて、アフリカツメガエルを研究材料に研究を行っています。脊椎動物しか持たない不思議な細胞集団が脊椎動物の頭部形成の際に、どのような役割を持ち、振る舞いをするのかをご紹介し、私たちが行なっているツメガエルを用いた頭部形成に関する研究の報告も交えながら、脊椎動物の出現や頭部構造の獲得についてお話しします。

第3回

レクチャー・ハンズオン

日時
2015年05月16日(土)13:30〜
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
藤井文彦、平川美夏
表現を通して生きものを考えるセクタースタッフ)
タイトル
生命誌3つの表現
内容
 生命誌絵巻、新・生命誌絵巻、生命誌マンダラは、生命誌の考えを表す3つの絵です。生命誌の今を美しく、分かりやすく伝える表現として開館から10年の節目ごとに描いてきました。最初につくった「生命誌絵巻」は、最近ドイツのゲーテ研究家の関心を集めた生きものの歴史絵巻です。研究館の入口に飾ってある3つの絵を実際に観て、それぞれの絵の背後にある生きものの歴史の話を聞いて、最後は3つの絵を手作りで立体化(立版古と言います)します。3月に出来上がったばかりの「生命誌マンダラの織りもの」の製作奮闘記もどうぞお楽しみに。

第2回

日時
2015年04月18日(土)14:00〜
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
蘇 智慧 研究員(DNAから進化を探るラボ)
タイトル
多足類の系統関係からみた変態様式の進化
内容
多足類動物(ムカデやヤスデなど)は、分類上多足亜門として、六脚亜門(広義の昆虫類)、甲殻亜門(エビ・カニなど)、鋏角亜門(クモ・カブトガニなど)とともに節足動物門を構成している。従来、多足類が昆虫類に近縁であると考えられていたが、近年の分子系統学の研究によって、昆虫類に近縁なのは甲殻類であることが明らかになった。つまり、多足類と昆虫類は別々に陸上生活に適応したことになる。
多足類は、古くから上陸に成功していたが、多様な生態系を開拓せず土壌生活に徹してきた。一方、多足類は孵化してから脱皮と体節を増やすことを繰り返す、興味深い変態様式を持っている。今回は多足類の系統関係の解明とその系統関係から明らかになった変態様式の進化を紹介したい。

第1回

日時
2015年03月21日(土)14:00〜15:30
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
小田 広樹 研究員
(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)
タイトル
細胞をつなぐ分子の形態の直接観察
脊椎動物と昆虫の違いが見える!
内容
多細胞動物の誕生には、細胞をつなぐ分子(細胞間接着分子と呼ぶ)の誕生が重要だったと考えられていますが、多細胞動物誕生後も、動物の形態の多様化とともに細胞間接着分子は進化を遂げてきたことが分かっています。私たちの研究室は長年、細胞接着分子カドヘリンの進化の研究を行って来ましたが、その中で私たちはカドヘリンには遺伝子構造の違いとして動物の進化の歴史が深く刻まれていることを明らかにしてきました。しかしこれまでの研究では、そのような遺伝子構造の違いが意味する、接着分子の働き方の違いについて理解することができていませんでした。この問題に取り組むために、私たちの最新の研究では、昆虫のカドヘリン分子の形態を、特殊な顕微鏡を使って生理的条件下で直接観察する試みを行っています。脊椎動物のカドヘリンとは異なった仕組みが働いていることが分かりつつあります。レクチャーでは、この研究の背景と最新データを分かりやすくお話しします。
レクチャー終了後、希望者には研究室を案内します。

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