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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【春への準備】

2017年3月1日

齊藤 わか

お雑煮、七草がゆ、小豆がゆ、巻き寿司、あんパン、チョコレート。さて、何の集合かお分かりでしょうか。今年が始まってから、何らかの季節の行事でいただいた食べ物です。新旧入り混じってちょっと多すぎる気もしますが、パンもチョコレートもすんなり受け入れられてきた背景には、日本人の、いや人類のイベント好きな性質があるのでしょうか。

先週の暖かい日の朝、森の横を通ると、イカルが高い声で鳴き、コゲラが木をたたく音が一段と大きく聞こえました。近くの杉の木で毎年営巣しているキジバトのつがいが、今年も巣作りの材料を探しにきたそうです。母が木の枝を手頃なサイズに切って庭にまいてやると、大喜びで(?)拾い集めていたとか。梅の花も、早咲きの木から順に少しずつ開いてきています。よく見ないとわからないほど遅い変化ですが、周りの生きものが着実に前進していることに気づき、「私も春に向けてすることなかったっけ?」と考えてしまいました。年が明けて以来何度もやってきた季節の行事には、本来は、次の季節に向けて準備するための合図という意味があっただろうに、それをすっかり忘れていたんだなと気付かされます。

次はいよいよ桜が咲き、また私たちの大好きなお花見の時期がやって来ます。BRHの前は桜並木です。桜の木が前の年からコツコツと育ててきた花だと思うと、満開の時期を楽しむだけではなく、それが開いていく過程も見たい気分になります。小さな変化を楽しみに春を待ちたいと思います。

[ 齊藤 わか ]

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