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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【一歩踏み出す】

2012年10月15日

川名沙羅

はじめまして。10月から表現セクタースタッフに加わりました川名沙羅です、どうぞよろしくお願いします。初めてのスタッフ日記なので、自己紹介をさせていただきたいと思います。

私は、大学時代ショウジョウバエの翅を使った種分類の研究をしていました。もともと、昆虫に詳しかったわけではなく採集も研究を始めてから初めて本格的に取り組みました。ショウジョウバエの採集方法は複数ありますが、私が教わった方法は大きな網を草むらなどでふり、その網を頭からかぶり網の中にいるショウジョウバエを吸虫管(管の中にメッシュが入っていて口で吸うと、捕獲したい虫が管の中にたまるようになっています)で吸うというワイルドな方法でした。一見なにもいなそうな草むらでも、網をワサワサと振るとたくさんの昆虫がつかまるもので、網をかぶると自分の顔にむけてたくさんの昆虫がよってくる光景は採集素人の私にはとても刺激的なものでした。そして、野外に出かけ五感を使い生物と向き合う経験を通して、私の研究生活は自分が予想していたよりもはるかに楽しいものとなりました。

大学を卒業した後は、広告の制作会社で働きながら、研究補助員としてショウジョウバエの研究をする生活を送りました。“表現する仕事”と“研究”、2つ異なる仕事を経験しとても濃密な時間を過ごすことができましたが、いつかどちらの経験も活かせる仕事がしたいと漠然と思っていたところ、この度、表現セクターの仲間入りをさせていただくこととなり本当に嬉しく思っています。とはいえ、実は関西に住むのも、一人暮らしも初めてでドキドキの毎日です。新たな仕事への挑戦にはもちろん不安はつきもので、おじけづきそうになる自分もいます…。そんな時、深呼吸しながら自分のご先祖様たちが歩んできた道のりを思ってみると、それは思いもよらないような変化の連続で、それでもずっと途切れず私がいることを思うとなんだかとっても心強く感じられます。心の中で「がんばるぞー!」ととなえると私の体の内側から「がんばれー!」とたくさんのご先祖様の声が聞こえるようなそんな気もします。

今のところ、私の生命誌研究館での毎日は電気つけに始まり、ナナフシのお世話やホームページ更新のお手伝いなどをしています。私自身が研究館から遠方に住んでいたこともあり、なかなか館には足を運べない方にもホームページなどを通して生命誌を日常の中で考えていただけるよう工夫ができたらと考えています。また、自分が虫網の中を覗いて生物の面白さを生身で感じられたように表現にふれた方が楽しい、おもしろいと興味を持っていただけ語り合えるものづくりができるよう切磋琢磨していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

[ 川名沙羅 ]

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