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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【モビールを考えながら】

吉川徹朗 季刊生命誌68号のおまけのモビール作りをお手伝いすることになり、いま計画を練っている最中です。内容はまだ秘密(共生のはなしです)ですが、じつは当初考えていた案から、二転三転して現在のテーマに辿り着きました。いまも、SICPのスタッフさんやデザイナーさんとやりとりしつつ助けられながら、模索しているところです。
 モビール作りにあたっては、まずは、いろいろな資料や論文を読み込むことからはじめました。そこで、研究者(たち)の論文をずっと眺めてゆくと、研究の展開というか、視点の変遷のようなものが見えて、とても面白く引き込まれます。どういう着眼点から研究がはじまって、どのような発見に至り、それがどのように次の研究に発展していったのか?その流れを見ることがとても楽しい。実際には、おもてには現れていない多くの試行錯誤があったはずで、わたしたちに見えているのは、植物に例えると、いわば剪定されたあとのひとつの枝のようなものにすぎないかもしれません。同時に、その流れのなかからだけでも、その研究独自の個性がしだいに浮かび上がってくるような感触を持ちます。
 しかし、モビールの中には、その現象と、発見にいたる研究の面白みをすべて盛り込むことはできません。それらをどのように折り合わせて、モビールという限られたかたちの表現に盛り込んでゆくのか。あるいは、モビールならではのかたちを生かすことで生きものの面白さをどこまで表現できるのか。そこのところで悩みつつあり、また楽しみも感じているところです。どうぞお楽しみに。

 [ 吉川徹朗 ]

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