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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【卵の部屋誕生】

山岸 敦
 半年前の日記でお知らせしていましたが、この春新しい展示が生まれました。タイトルは予告通り、「ものみな一つの卵から」、英語に直すと"From egg to animal"でしょうか。「ものみな一つの細胞から」という生きものの基本について、動物の個体発生を切り口に考える展示です。
 展示の目玉は、直径0.1mmから10cm以上までさまざまな動物の卵の実物を見せるコーナー。顕微鏡で見るマウスの受精卵は透明でとても美しく、ダチョウの卵はカナヅチでたたいても割れないくらい丈夫です(試さないでください)。また、大きなウシもあのエチゼンクラゲも、卵はこんなに小さいの?!と驚かれるかもしれません。全部で25種類、動物界を構成する34の門のうち、主要な8つの動物門(刺胞動物、線形動物、環形動物、軟体動物、節足動物、棘皮動物、半索動物、脊索動物)の卵が一堂に会しました。水の中に産み落とされる卵、陸の上で孵化する卵、そして母親の胎内で育つ卵。それぞれの個性をじっくり見比べてください。
 卵を見た後は、卵から動物の「かたち」が現れる様子を動画でご案内。動物とは、動く能力を持つ生きものということだけではなく、動き回る細胞によってつくられた生きものであるということが実感できると思います。映像は、日々動物の発生と向き合う研究者が撮影した一級の研究資料。1週間もかけて記録したものを1分足らずで堪能できるなんて贅沢ですね。
 そして発生を経て誕生した動物たちは、それぞれの生息環境で育ち、次の世代を産みます。こうしてライフサイクルが一回り。成長していく動物たちの映像を呼び出すしかけを、スクリーンに投影した日本画の中に組み込みました。その作品とは…。ぜひ来館してご覧下さい。




 [ 山岸 敦 ]

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