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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【学会参加】

山岸 敦
 私が「ナマモノ」の生物学研究から足を洗って?5年が過ぎました。現役時代の思い出の一つに、春に開催される発生生物学会、冬に開催される分子生物学会のどちらかには必ず参加したことがあります。また、機会があれば秋の動物学会や生化学会などにも顔を出していました。
 ここで、「学会」について詳しくない方のために簡単に説明しますと、大学の研究室では、その主宰者(ボス)の方針で「参加すべき学会」というのがだいたい決まっていて、大学院の修士くらいでとりあえず「聞きに」行き、博士課程までには「発表する」ために参加するのが普通になります。もちろん学会で発表するのは学生だけではなく、それなりの時間が割り振られる口頭発表(シンポジウムなど)では、スタッフや教授、さらには名前しか知らない海外の著名な研究者が招待されている場合もあります。そして先輩やボスの計らいでこのような日ごろ会うことの無い研究者と交流(飲み会)し、分野の状況や人脈を門前の小僧で習っていくのです。
 学会で発表される内容は基本的に速報性の高いもので、ここで発表しておくことで他の研究者からアドバイスをもらったり、「これについて自分はここまでやっている」とアピールしておくという意味合いもあります。ただしまさに進行中の研究ですから、その後の進展具合によっては他のラボに先を越されたり、論文発表まで至らずにポシャってしまうものも多々あります。
 このように学会は研究者にとって情報交換、意見交流の場として重要な機会なわけですが、私たちSICPのメンバーにとっても、学会に顔を出すのは実は大事な仕事の一つです。論文として発表される前の最新の研究を把握する面白さもありますが、「楽しそうに発表する研究者」の顔を見て、「この人なら生命誌での研究表現も楽しんでくれそう」と判断できるまたとない機会です。そしてあわよくば学会中に、マンツーマンでより深い内容を聞いたり、近い将来での記事執筆の内定を取り付けたりします。これまでにResearchで取り上げた方々には、そういうアプローチが功を奏した例がいくつもあります。
 というわけで、先月末に福岡で開催された発生生物学会に、発表のために参加した小田ラボ橋本ラボに混じって私も行ってきました。その成果については、今後の季刊生命誌をご期待ください。


 [ 山岸 敦 ]

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