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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【4年越しの恋】

今村朋子
 この3月、部分月食が観測されました。私達が暮らす地球の周りには太陽系があって、銀河があって、膨張し続ける宇宙がある。頭では理解したつもりでも、いざ頭上を見上げると、果てしない空に吸い込まれて何も言えなくなってしまいます。
 大学の時、向井千秋さんにお会いする機会がありました。その時おっしゃっていた、「すべてのものは生きているだけで美しい」という言葉は、以来心の芯に組み込まれてきました。向井さんに憧れ、私もいつか宇宙に行くと、ずっと憧れてきました。それから4年。お金さえ出せば(ただし莫大な)、誰でも宇宙に行ける時代になりました。次号の季刊生命誌の編集を通して、改めて憧れていた宇宙は観光旅行ではなかったのだな、と実感しています。私にとって宇宙に行くということは、言うなれば無限の果てを見つめて、限りある命を愛おしむことなのかもしれません。
 今年の季刊生命誌のテーマは「()る」。第一回は宇宙のはじまりインフレーションから生きもののはじまりへが、ぎゅっと詰まった内容です。特に、「Research」のコーナーでは生命惑星学を担当することができ、この研究の表現に取り組んだ3ヶ月間、心は宇宙に行けました。4年越しの恋がようやく実った春です。間もなく発行の季刊生命誌53号。どうかみなさまも宇宙へ心遊ばせてください。


 [ 今村朋子 ]

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