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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【二月はてんてこ舞い】

村田英克
 毎日が忙しいと気持ちもガサついてイガイガした人(どんな人?)になってしまいがちですね。そんな時にはハイパーソニック・サウンド(Talk49号)を流したいねえと皆でつぶやきます。「いやあもうほんとうに毎日忙しくて、てんてこ舞いだね。」思わず口をついて出た言葉を調べてみたら、てんてこ、てんてこと、小鼓の拍子にあわせて、あわただしく舞う姿からてんてこ舞いというそうで、お祭りや里神楽から来ているらしい。てんてこ、てんてこ、と仕事する喜びが自ずからわいてくる気がします。今、私がこの言葉をどこまでわかっているのか心もとないけれど、てんてこ舞いという言葉の手触りがとてもすてきだなあと思います。言葉は、日常「用い」ながら知らず知らずのうちにこなれてくる。日本を生きた先輩から、わからない要素、知り得ない歴史をまとったその言葉を受け継ぎ、魅力あるものであるよう心がけて用いることが、来し方から行く末をつなげること。そもそも言葉にどこまで意味があるのか。まるでゲノムに含まれていて、私たちには目的不明のままに細胞の中でふにゃふにゃ働いているnon-cordingRNA(Talk52号)のように、関わりの中で用いられる現場にこそみられるものなのかな。
 SICPでは、今日も、皆が、耳を研ぎ澄ませ、小鼓の拍子を聞き分けながら、てんてこ、てんてこと不思議の響きにあわせて、それぞれが舞っております。今年の表現を詰めた年刊号は『関わる』。216頁入校しました。今、表紙を決めているところ。5月には全国書店でお求めになれます。

 追伸:毎朝、通勤電車の窓越しに、異なる表情を見せてくれる山並みを眺めながら揺られて来るのですが、今朝は見事な虹がくっきりとあらわれ、ぽかんと見入ってしまいました。そんな風景の中にいるのがうれしかったので追記しました。


 [ 村田英克 ]

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