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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【細胞の卒業に向けて】

遠山真理
 年が明けたと思ったらあっという間に1月も半分が過ぎてしまいました。「一年の計は元旦にあり」とのことですが、みなさんは今年の目標をたてましたか?私の場合、やりたいこと、やらなきゃいけないこと、いろいろ思い浮かんだのですが、まずは納得のいく展示をオープンさせることを第一の目標にしました。思ったより企画に時間がかかってしまって少々焦り気味ですが、この春にはオープンする予定です。
 SICPに入ってから「ミクロのインタラクティブラボ細胞くん」や「体を支える運び屋さん ―モーター分子の活躍―」、「季刊生命誌」など、さまざまな角度からの細胞の表現に挑戦してきました。細胞展ではそれらの総仕上げとして、生命誌が考える細胞について余すところなく実感出来る展示をつくりあげて、しばらくは細胞から卒業してみたいと思っています。
 細胞は目に見えないくらい小さく、実感しにくいものですが、38億年まえにひょっこり誕生し、自然界ではどんなものもなし得なかった「分裂して自分とおなじものを作り出す」というしくみを手に入れ、現在まで絶えることなく続いています。私も細胞が集まってできていますし、どんな生きものも細胞が基本です。生きるということを考えたときに細胞がどのくらい大切でどのくらいすごいことをやってのけているのか、そのしなやかさやしたたかさを交えながら伝えたいと思っています。口で言うのは簡単ですが、これを形にするのは本当に難しい。スライドガラスをイメージした細胞の模型はその形だけでなく触感にもこだわったり、模型に連動する映像の表示方法を工夫したり、本物の細胞を顕微鏡下に見られるようにしたりと、実感するための工夫は惜しまず取り組んでいます。SICPスタッフ、中村館長、展示業者のみなさんを巻き込みつつ、悩みながらもどうにか前進しているはずと信じる毎日です。私たちの細胞への思いがみなさんにも届きますように。ラストスパートをかけたいと思います。


 [ 遠山真理 ]

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