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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【サマースクールで掴めた感覚】

坂東明日佳
 私は、この4月にBRHを離れ、静岡県にある国立遺伝学研究所という施設に研究活動の場を変えました。この研究所では実験研究のほかにDNA塩基配列などの生命情報の公開・管理やその共有方法の研究も行っています。ここでの活動に触れながら、展示やジャーナルといったSICPでのスタイルにとどまらず研究内容の表現について考えたいというのが引越しの理由です。BRHでは賑やかな商店街の人々やSICPスタッフの“声”でのやりとりが飛び交う日々でしたが、今は人以外のものに関心が向かう毎日です。一つは通学途中の豊かな自然。特に青空を貫けるメタセコイアの木、墨色のセロファン紙を幾層にもずらして重ねたような山々がお気に入りです!もう一つは、呪文としか言いようのないコンピューターに関する専門用語とコンピューターそのもの。これを学ぶために来たのですから呪文などと言っている場合ではありません。不安なことも多々ありますが、新しい環境を活かせるよう楽しく頑張りますので、これからもよろしくお願いします。
 気づけば毎年恒例のサマースクール(略してサマスク)の時期がやってきて、久しぶりにBRHに帰省しました。サマスクではいつもラストを飾るスクール生による発表会を楽しみにしています。二日間のギッシリと詰まった活動内容を伝えるために一人一人に与えられた発表時間はあまりに短い!そんな試練(?)にもめげずスクール生たちが「へえ!」「分からなかった・・」と自分の気持ちを堂々と率直に発表している間中、私は感心しきりです。今回はなかでも、「え、こんなものまで細胞だったの?」など、生き物がDNAを含む細胞で成り立ちどれも皆なんだか上手につながっていることへの明快な驚きの声に大いに反応してしまいました!
 通常の研究発表や論文は、サマスクの発表ほど簡潔ではなく、また目がくらむほどその数は膨大です。しかしサマスク発表会で掴めた、この自分の気持ちを鋳型にするような感覚でそれに向き合えばおのずとつながるものや、はなれるものがあるはず!そんな研究を一つのシンプルな動機でつなぐ作業のイメージを膨らませながら、めげずにコンピューター部屋に戻って格闘を再開しています。




 [ 坂東明日佳 ]

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