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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【肺魚観察】

板橋涼子
 春が近づいたり、遠ざかったりするこの頃。春休みのせいか、親子連れの方々が多く、ホールがいつもより賑やかです。中でも来館者に人気があるのが受付前でのっしりと水中に体を沈めている肺魚たちです。左からオーストラリア肺魚のアボガドくん、アメリカ肺魚のえんぴつくん。


アボガドくん えんぴつくん

 私は肺魚のお世話係を任されています。初めて任された時は、貴重な生きものの世話をするということでかなりのプレッシャーだったのですが、毎日接するうちにプレッシャーは消え去り、ガラス越しにコミュニケーションをとるまでになりました。あまり動かない生きものですが、1年を通して彼らの日常を観察しているとわずかだがおもしろい発見があります。

えさ
週に1回から2回。餌はナマズ用の固形餌。水槽のガラスがにごって困っている時、大学院生の山口さんにタニシを分けていただきました。水槽の汚れをとってくれることを期待し、「仲良くしろよー」と水槽に入れたら、5分後にはいなくなっていたのです。その現場を見た人は誰もいなかったのですが、受付の方から「肺魚の口がモグモグ動いていた」と証言をいただいたので、おそらく食べてしまったのだろうと思われます。人間の思い通りにはなかなかいかないものですね。

運動不足
 鰓呼吸に頼っているアボガドくんは、ほとんど動きません。餌を与えてもズル、ズルっと体を重たそうに動かして近寄ってきます。泳ぎがうまくなく、たまに水の中で反転して溺れていることもあります。そこが可愛いところではあるんですけどね。浮く餌を与えて運動させたほうがよい、と専門書に書いてあったので、一度それを与えてみたことがあります。初めは無関心をよそおっていたのです(?)が、水上の餌が気になるらしく、何度か浮上を試みたものの、水槽の半分まではいけるのですが、それ以上は叶いませんでした。水槽越しに「そこだ!もう少し!」と勝手に応援をしていたのですが、肺魚にとっては荷が重かったらしいです。その後、何度か与えてみたのですが、最後には見向きもしなくなってしまいました。

大口
 えんぴつくんは、ごくたまに水中であごが外れるくらいの大口を開ける時があります。初めて見た時は、かなり衝撃的でした。私は勝手に暇であくびをしていると思っているのですが、水中であくびすることはあるのだろうか?などといろいろ考えてしまいます。知っている方がいたら誰か教えてほしいです。。


 [ 板橋涼子 ]

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