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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【生きものと向き合う】

板橋涼子
 新年明けましておめでとうございます。本当にあっと言う間の2005年でした。小学校の頃、1999年にはノストラダムスの予言が的中して、人類滅亡と本気で心配していましたが、もうそこから丸6年も経ってしまったのですね・・・。月日が経つのは早いものです。
 前回の表現スタッフ日記でご紹介しそびれたエコシアターについて少し宣伝させていただきます。海の中の生きもの(主にクラゲ)が主役です。普段みることができないクラゲの赤ちゃんや、深海にいる奇妙な形のクラゲたち。生きるための知恵がみえてきます。とても美しい映像ですので、ご来館の際には是非ご覧下さい。
 海は、大昔から人間にとって日々の糧を提供してくれるとても有り難い場所です。私の趣味の一つに釣りがありますが、その一番大きな魅力は、海の生きものと正面から向き合えることだと思います。針にエサをつけて糸をたらせば絶対に釣れるわけではなく、あたりがくるまでじっと待っていたり(この待つことの好き嫌いで、釣り好きかどうか分かれる)、わずかなあたりを感じたらひっかけたり、みえない魚との知恵比べです(大抵負けてしまいます)。私は、バス釣りのように釣りを競技として楽しむことはありません。今晩のご飯のために釣るのです。ボウズになってしまう(一匹も釣れない)と今晩何も食べるものがないというわけではありませんが、“釣った魚が自分のご飯になる”と思うと自然に力が入ります。かなり真剣に生きものと向き合う瞬間です。船酔いにも負けず、ようやく釣れた魚には「釣られてくれて有難う」という感謝の気持ちさえも湧いてしまいます。
 海以外にも有り難い場所はたくさんあります。例えば山。一番苦労したのがタケノコ狩りです。急斜面を登りながら、わずかな土の膨らみを探し出して掘るのですが、これがまた探しにくい。掘ったばかりのタケノコはえぐみがなく栗のような甘さがあります。
 皆さんも是非、海や山に食べものを探しに出掛けてみて下さい(変なものは決して食べないように)。スーパーマーケットのように必ず手に入るわけではありませんが、生きものと自分なりに真剣に向き合うことで、食べることの大切さを実感できるはずです。


 [ 板橋涼子 ]

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