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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【コミュニケーション】

加藤史子
 JT生命誌研究館ではBRHイベント(実験室見学ツアー・研究員レクチャー・サマースクール)の運営を担当している私ですが、普段は広島大学の医歯薬学総合研究科で脊椎動物の発生を研究しています。

 昨年の10月、私たちのラボに、インドネシアから女性の留学生がやって来ました。そして、その留学生の研究を私が指導することになりました。私にとって、長期にわたって誰かの研究を指導するのは初めての経験。これまで半年と少しの間、ボス(教授)の指示を仰ぎながら、彼女に実験の手法を教え、実験結果について何度も話し合い、一緒に研究を進めてきました。
 彼女はまだ少ししか日本語ができませんので、私と彼女の間のコミュニケーションには、もっぱら英語を用いています。同い年であることも手伝って、彼女とは研究以外のことでもよく話すのですが、お互い母国語が英語ではないので、時には言いたいことを伝えるのに随分と時間がかかることもあります。でも最後には必ず伝わります。
 どうして伝わるのだろうか、と振り返りながら考えてみたのですが、きっとお互いに、相手に伝えたい、分かりたいと思っているからだと思うのです。分からないんだったら別に分かってくれなくてもいいや、とは1ミリ(?)も思わないからなのでしょう。そういえば、半年と少し彼女と接してきて、「言葉の壁」を意識したことは一度もありませんでした。コミュニケーションにおいて最も大切なのは、伝えたいと強く思う気持ちなのかもしれません。

 新年度になって、医学部の5年生が基礎配属でやってきました。基礎配属とは、臨床ではなく基礎研究をおこなっているラボで研究活動を実習するものです。広島大学ではこの時期に約一ヶ月間の日程で行われているようです。
 今年度は、私たちのラボに来た基礎配属の学生5名のうち、3名の実験を、私と留学生の彼女とで指導しています。と言っても、これを書いているのはその初日で、まだ始まったばかりなのですが、学生たちが彼女とどのようにコミュニケーションをとっていくのか、たいへん興味深く思っています。もし、伝わらなくて困っていたり、もどかしく思っていたりしたら、伝えたいと強く思うようアドバイスしてあげようと思います。そうして是非とも「伝えにくい内容を伝えることを楽しむぐらいの気持ち」つまり、私が思うところの“コミュニケーションの醍醐味”を味わってもらいたいと思っています。


[加藤史子]

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