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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【愛づる楽しみ、尽くす喜び】

北地直子
 「○○○づくし」というのがあります。
おいしいものでいうと「蟹づくし」、おめでたい意匠「宝づくし」、いただいて嬉しい「心づくし」…、○○○の同類のものをすべて挙げること(それってオーム主義?→トーク40参照)。  あるいは、中国や日本の絵画に「百○○図」という画題があります。
厳密に数が100というわけではありませんが、たくさんの種類の○○を書き尽くすという趣向です。例えば、江戸時代の画家円山応挙が描いた「百蝶図」(サロンコンサート「早春の生命賦」パンフレット参照)には、鱗翅目91匹(惜しい!)が乱舞。あり得ない光景ではありますが、蝶愛づる人にとってはまさに狂喜乱舞したい空間。
 好きなものに埋め尽くされたい、好きなものを見尽くしたい…とは、憧れや好意を背景にして、ついつい夢見てしまうもの。尽くす達成感、尽くされたものを見る満足感には、ある種の快感や幸福感が伴います。なんか強欲だな…と思いつつ、虫好きに置き換えますと、埋め尽くされた虫達にうっとり「標本派」(ディスプレイ、装丁にもこだわります)。一方、毛虫も蝶まで愛づるは「飼育派」(要は中身、時間をかけて育てます)。科学的思考の両端とも思えるその両視点(SICPの活動にもあてはまります)、じゃぁ「愛づる」を「尽くし」てみたら…?
 そうです、「愛づるづくし」の年刊号!そろそろ完成間近です。2003年度「愛づる/時」を年間テーマにお送りしてきました「生命誌ジャーナル」「BRHカード」の総まとめ。たくさんの愛づるが詰まっています。今年は5月頃から本屋さんにも並ぶ予定。中村館長の「ちょっと一言」でも話題の、お気に入りの“掘りごたつ”、“ミツバチマーヤの冒険”が繰り広げられるお庭など、日常photoから始まりますよ。
 私たちもベストを尽くしました。『生命誌2003』どうぞお楽しみに。


[北地直子]

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