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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【イモリで町おこし?】

高木章子
 たまたま通りかかった兵庫県の山間の町で、イモリで町おこしをしているというのです。
  ─え?実験動物として飼育して、研究機関に提供するのかしら?─
 イモリグッズも売っているというので、足を伸ばすことにしました。日曜なので、商工会議所の売店はお休み。教えられて行ったところは、普通のお家でした。「まあ、上がれ」と促されてお座敷に上がることになり、
  ─あれ、なんか違うかも。─
 Yさんは、子供のころにはこのあたりにもイモリがたくさんいて、・・・とかまわずどんどん話し始められます。病気の時には黒焼を食べたこと。お腹が赤いので、気持ち悪がられるけれど本当は害もなく可愛いのに、とイモリの不遇に不満だったこと。そして、釣り仲間と、イモリがたくさんいた昔の環境をとりもどそうと活動を始めたというのです。その名も「イモリン倶楽部」。
 自分たちで、イモリの生態の調査、研究をし、水槽で飼育したり、休耕田に水をひいてイモリの生息できる池づくりを試したり、町特産のタオルにイモリのキャラクター「イモリン」をプリントしたグッズを作ったり。
  ─あれっ、生命誌研究館みたい。─
 イモリの絵本も作りたいと、どんどんアイディアが出てきます。困っている仲間に脚を一本切って与えたイモリに神様がもう一度生えてくる能力を与えてくださったという話だそうです。
  ─うん、面白そう。─
 山間の町で偶然出会った「生き物の研究と表現」でした。


[高木章子]

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