1. トップ
  2. 語り合う
  3. 【バックナンバー 】

表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

バックナンバー

【バックナンバー 】

1998年10月1日

 台風とともに生命誌や展示の取材調査を兼ねて、広島大学で行われた植物学会に行ってきました。
 普段、研究者の方と1対1で話すことはあるのですが、研究者集団には学会以外ではお目にかかれません。学会は個人と違って、研究分野のカラーがとても良くでます。学会によってコンピュータっぽい感じの人が多かったり、ワイルドだったり、牧歌的だったり、、と様々(今回はのんびりかなあ?)。やっぱり、科学研究と言っても人間がやっているんだなとあったかさを感じ、ホッとします。
 さてさて、たくさんの発表を聞いてきましたが、展示や雑誌のテーマにするにはかなりまとまった研究でなければなりません。今回の学会でも、発表を聞くと「そうだった、研究はとても緻密で時間がかかるものなのだ。」とまたもや感動とも反省ともつかぬ思い直しの連続でした。私達にとって、学会参加はそのことをちゃんと実感できるとても大切な場です。今回、私が最も印象に残ったのは「より、真実を見る」というシンポジウム。技術の進歩により、生きたままの細胞中の様子を見ることが出来るようになりつつあるという発表がいくつか行われました。たくさんのきれいなスライド、ビデオを見ることができました。そのシンポジウムが始まる前に進行役の先生が「こんなにこのシンポジウムに人が集まるとは思っていなかったので、驚いています。」とおしゃっていました。それを聞いて、私は心の中で、「いやいや、研究者こそが誰よりも早く百聞は一見にしかず!をやってみたいに違いない」と思ったのです。まずは研究者の間で、きっとその後で、皆が一枚の写真や、一本のビデオを見ることで科学の面白さの真髄を感じることのできる時代が来るに違いないと思いました。その前に皆さんには生命誌で紹介するつもりです。お楽しみに!
[工藤光子]

表現スタッフ日記最新号へ