ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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洞窟に住むコメツキムシ

2019年1月7日

有本 晃一

新種を発表しました。日本の九州南部でのみ発見されている洞窟性のコメツキムシLimoniscus spelunca(甲虫目コメツキムシ科)です。和名はまだ考えていませんが、“ドウクツカネコメツキ”といったところでしょうか。

この新種は、カネコメツキ属の仲間です。カネコメツキ類の成虫は、概して春から夏に森林で見られます。しかし、ドウクツカネコメツキは生活史の全てを洞窟内で過ごし、成虫は晩夏から冬にかけて見られます。なぜ森林性だったグループから洞窟性の種が出現したのか、なぜ成虫の発生時期が他の森林性種とずれてしまったのか、具体的なことは何もわかりません。なにせ名前がついたばかりです。

生活史の全てを洞窟内で過ごす(真洞窟性)生物は、洞窟環境に適応したが故に外界の生物とは異なる形態をしていることが多いです。昆虫に見られる例ですと、日光にさらされないため体色が薄くなります。暗黒の中で生活するため、目が退化します。飛ばないため、翅や飛翔筋が退化します。移動は歩行に頼るため、脚が長くなります。ところが、ドウクツカネコメツキにはそういった特徴は全く見られません。

ひとつ考えられる可能性は、実は洞窟の中と外を行き来しているのではないかということです。ですが、この種が幼虫から成虫まで洞窟内で過ごし、さらに飛べないということも確認しています。洞窟の外に出るとは考えづらいです。よって、この新種は、洞窟生活を始めた直後で、多くの真洞窟性昆虫に見られるような特殊性が獲得されるほどの年月がたっていない、のだと推察します。単なる洞窟性の新種というだけではなく、洞窟性進化の初期段階を知ることができる貴重な存在である可能性が高い“かも”です。今後、継続的に調査して真相を解明していきたいです!


大瀬洞の入り口付近(熊本県)

オオセドウクツカネコメツキ
(右:♀, 左:♂)

[ DNAから進化を探るラボ 有本 晃一 ]

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