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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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「サヨナラだけが

2016年10月17日

和智 仲是

人生だ」という言葉は井伏さんが訳した言葉だそうです。いろんな意味にとれると思うのですが、個人的には清々しくてとても好きな言葉です。オダサクも清々しいのが好きな理由の一つです(特に『青春の逆説』はお薦めです)。ここへ着任してすぐの自分の日記を見ると、(あまり覚えていないのですが)3年前の自分はなんだか清々しい気持ちだったのだなと思いました。そして、また今、清々しい気持ちになっている自分がいます。3年前の自分と同じように、10月からの新たな環境を楽しめたらいいなと思っています。そういう成長を期待してはいなかったのですが、「こういう風になりたい・こういう風にはなるまい」とこれまでなんとなく思っていた目標のようなものをこの3年間ではっきり意識することが出来たのではないかと思います。

書きっぱなしになっているので、これまでの日記の「それから」を書こうと思います。まず、クイッケ博士には、実際にお会いする機会がありました。本を見せて「サインしてください!」と言うと、「もうあるじゃないか」と笑いながらとても素敵な言葉を付け加えてくださいました。何を書いていただいたかは内緒です。次に、ウナギはずっと食べていないのですが、残念ながらどうしたらいいかの答えも出ていません。目の前で他人が食べるのは何度も見て(ヨダレが出るのをなんとか我慢しながら、今も平気でウナギを浪費する人のことを心のどこかで静かに軽蔑していると思います)、身近なことで自分の価値観とは違ったいろいろな価値観があることを実感しています。結局しばらく自分には食べられないけれど、高級な鰻屋さんのウナギは食べてもよいというのが当面の答えでいいのかどうかというのが目下の悩みです。それから、思い入れのある論文はようやく2回目ですが引用をしてもらえました。引き続き、どこかで誰かに見ていただいています。そして、研究費は昨年度から助成をいただけることになりました。でも、この助成期間が終わるときには、きっとまた秋の暈に苛まれていると思います。小笠原にはその後もう一度訪れました。スズメがいないのは小笠原だからというわけではないということもある方に教えていただきました。はじめて訪れたときに感じた不安は解消されないままですが、自分にできることとして早く研究を形に出来るように頑張らねばと焦っています。「自分で体験したことを自分の言葉で」ということはこれからも練習をしようと思っています。「ただ書けばよい」というのは論文にも通じるのでしょうか。バリバリ論文を書いている友人に今度聞いてみようと思います。最後に、関西から行ける山へ登ることは幸いにもこれからも少しだけ続けられそうです。「趣味は登山!」と即答できるように精進しようと思います。麓から登った事のない伊吹山や薦めていただいた比良山系・天候が悪くて行けずじまいになった立山と予定は盛りだくさんです。さて、こうやって見返してみると研究のことを何も書いて来ず、サボってばかりじゃないかとお怒りの方もいるかもしれないという危惧を感じました。もしそのような方がいらっしゃいましたら、これらは毎回苦し紛れに書いたり息抜きに書いたりしてきた結果なので、笑って見逃していただければ幸いです。それでは。

[ DNAから進化を探るラボ 和智 仲是 ]

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