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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【就活に悩む学生と先生】

蘇 智慧 この頃、学生の就職が厳しいということばはよく耳にします。私の学生時代というと、もう20年前のこととなってしまいましたが、本当にあっという間です。就職活動(就活)をした経験がないので、就活を語る資格がないかもしれないが、20年ほど前の私の周りには就活らしい活動はあまり見たことがありません。学生は毎日研究室に来ているが、卒業や終了するときは就職先がチャンと決まっています。どうやって就活していたのでしょうか。聞く話によると、あの時代は企業側と学生側は今とまるで逆の立場にあります。企業側は大学だけでなく、学部や研究室まで採用説明をしに来てくれるそうです。面接の日程も学生の都合に合わせて決めたりするそうです。要するに就職する気があれば、就活をしなくても就職先が転がってきます。今の学生と先生にとっては本当に羨ましいばかりの時代でした。
 20年後の今は、時代が違うと言えばそうですが、就活はあまりにも違うのにビックリしています。修士の2年間は研究と就活を両立させるところか、まるで就活が中心となってしまっています。学生は4月に研究室に入ってきて、やっと研究の軌道に乗ったと思ったら、就活が始まってしまいます。年を越えると、研究活動はほぼ休止になり、その状態は就職先が内定されるまで続きます。就職が決まって、研究活動を再開しようとするが、研究のことは随分忘れてしまい、再び軌道に乗るまで暫く時間がかかり、修論作成はもう目の前に迫ってきています。修論作成に必要な実験データを得るには明らかに時間が不足しているが、レベルを落として修論を完成させるしか道がありません。
 このような就活の現状はある特定の大学に限った話ではなく、かなり普通の現象らしいです。学生に研究と就活を両立させるために、何か良い方法があるのか、それとも時代の変化を待つしか道がないのか。就活に悩んでいる学生をみて、学生を世話する立場になった私も真剣に悩んでいます。

[DNAから進化を探るラボ 蘇 智慧]

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