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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【虫と仲良く】

小倉絵里 私はこれまでの研究生活の中で、色々な動物を実験対象として用いてきました。ウミヘビだったり、熱帯魚のゼブラフィッシュだったり、今扱っているアフリカツメガエルだったり。種類はいろいろですが、どの動物を扱ったときも苦手意識のようなものはありませんでした。ただ、同じ生き物でも、研究室の外では虫が全般的に苦手で、節の感じとか、ひっくり返したときのお腹の感じなどが、なんだか背中がむずむずするような感覚に襲われ、どうにも愛でることができずにいました。
 BRHにはいろいろな種類の虫が飼育されており、標本もたくさんあります。廊下や展示フロアを通るたびに、それらの虫の写真や標本をなんとなく眺めていたら、それらの生態や体の作られ方はどうなっているのかな?というような興味が湧いてきまして、あまり抵抗が無くなってきました。そんな中、ショウジョウバエを顕微鏡下で観察する機会がありました。ショウジョウバエは発生などの研究分野で昔から用いられている有名なハエなのですが、私は写真でしか見たことがありませんでした。そんなショウジョウバエの観察を昔の私なら丁重にお断りしているところだったかもしれませんが、今なら興味深く見ることができる気がしていました。実際に観察してみて、ピンセットで幼虫のお腹の中を開いたものなどを見ましたが(ちょっと残酷に思われるかもしれませんが…)、あれ?と思うくらい気になりませんでした。どうも研究の対象物としてみると、見え方が変わってくるようです。苦手な動物がいる方は、ちょっと目線を変えて、どうやって餌を食べるのかな?とか、どうしてこんな動きをするのだろう?など、少し科学の目線で見てみたら、意外に可愛く見えてくるかもしれませんよ。ただ、私は残念ながらこれで虫嫌いが治った!というわけではなく、洗濯物を干そうとベランダに出たときなどには、飛んでくる虫たちと未だに格闘しています。

[カエルとイモリのかたち作りを探るラボ 小倉絵里]

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