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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【細胞の写真集】

秋山-小田康子

 物事がどこまでどうなったら分かった、というのか人によって非常に違うと思う。同じ現象を解析していても、その現象を「分かった」ことにするのには研究者によって非常に違いがある。もちろんそれは時に従ってどんどん細かい解析が必要になってくることとも関連していることではあるのだけれど。「注目する現象に関わっている遺伝子の配列が分かる」ことかも知れないし、「その遺伝子の生体内での発現が分かる」ことかも知れない。「その遺伝子がコードするタンパク質の細胞内での分布が分かる」、もしくは「そのタンパク質が生体内で行う化学的な役割が分かる」ことかも知れない。人によっては「タンパク質の立体構造が明らかになり」、さらに「化学的な役割を果たす時の電子のやり取り」まで分からなくては、分かったことにはしないかも知れない。私自身は、注目する現象が起こっている時の細胞の挙動とそこに関わっている遺伝子(タンパク質)の役割に関して、理解したいと思っている。突極的には重要な発生現象が起きている時に卵が生きたままの状態で、細胞や注目するタンパク質分子の挙動、細胞間のシグナルのやり取りまで観察することができたら、と思う。これは何も私だけではなく多くの研究者の望みであり、そのような観察をするための手法や機器の開発はどんどん進められている。私自身はそのような技術に関してまだまだ未熟だけれど、未熟な私でも顕微鏡を覗いていて感じるのは、細胞や卵が非常に美しいということだ。様々なきれいな細胞、きれいなだけでなく機能的にも意味のある状態の細胞の写真やムービーを集めたら面白いかも。と、ちょっと思ったけれど、それって顕微鏡や試薬をのカタログと同じようなものになるのかな。ここで私の撮った写真を2つばかり。これは、核が表層に上がってきた時のショウジョウバエの卵(左)と、オオヒメグモで背側を誘導する時に重要なはたらきをするCM細胞(右)の写真です。


[ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 研究員 秋山-小田康子]

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