ラボ日記
研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【確かな記憶】
 
尾崎克久

 高槻に引っ越してきて、早いもので4年の月日が流れました。わがままとしか思えないマナーの悪さも目につきますが、総じておせっかいで人情にあふれて暖かみがあり、田舎者でも空気の汚さ(特に春先がホコリっぽい)以外はなじみやすい土地柄です。出勤途中に話しかけられるなど、実家周辺よりもご近所さんとお話をする機会が多いことに驚きました。
 一昨年、アパートの近くの河原で、ジャコウアゲハが大量に飛んでいるのを観察しました。ものすごい群生地を発見したと大喜びで、ほぼ毎日見に行っていました。昨年は土手の草刈りが頻繁に行われたせいか、前年ほど大量ではありませんでしたが、稀な群生地であることは間違いありません。土手の上を散歩している方がたくさんいて、気軽に話しかけてくださる方もいますので、話を聞いてみると黒いチョウはいつもの年はもっとたくさん飛んでいるのだそうです。今年はその方がいう「いつものとおり」にたくさん飛んでくれるのでしょうか。
 先日、「いつものとおり」に実験をしていて、途中で別の用事が入ったので、特にメモを取らずに続きを翌日にまわしてしまいました。翌日、その続きをしようと思ったときに、サンプルの入ったチューブに番号しか書いていなかったため、それが何を表しているのかわからなくなってしまい、結局最初からやり直しました。作業に関するメモを残してさえいれば、何も困ることは無かったはずです。いつもやっていることだったので、絶対に忘れるはずが無いという自身があったのですが、「確かな記憶」の曖昧さを実感しました。学生時代、出身研究室の教授がよくおっしゃっていました。
  “確かな記憶より、かすれたメモの方が信頼できる”
慣れた繰り返し作業であっても、絶対に油断してはならないと痛感しました。


[昆虫と植物の共進化ラボ 研究員 尾崎克久]
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