ラボ日記
研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【科研費の申請】
 
蘇 智慧

 2004年はあっという間に終わってしまいました。年を多少取ってきたせいか、時間がたつのがどんどん早くなっているような気がします。特に大きいなイベントがいくつもある年はさらに早く感じます。昨年は例年通り実験をして論文を書いたり読んだりする研究仕事や、BRH行事、それから、様々な事務仕事などを一通りこなしたが、そのほかに、例年にない科研費の申請書類作成は一つ大きいな仕事としてありました。科研費とは文部科学省や学術振興会からの科学研究費補助金というものです。大学では「日常茶飯」のように毎年科研費の申請書類の作成を行い、文科省や学術振興会に提出し、それにより研究費を獲得し研究を行っています。しかし、科研費の申請書類はかなり煩瑣で、大量の文章を作成したうえ、決まった書式に正確に記入しなければならない。そのために、多大な時間と労力が必要です。しかも、毎年実際に採用されている申請は全体のおよそ2割程度しかないため、多くの申請者にとっては多大な時間と労力が完全に無駄になっているのではないかと思いました。
 BRHは昨年から科研費の申請ができるようになり、私も初めて科研費申請書類の作成を行いました。初回ということもあり、確かに相当の時間を費やしてしまいました。もし申請が採用されなかったら(確率から考えると可能性が大きい)と思うと、勿論悔しい。しかし、費やした時間と労力が無駄になってしまったかと言うと、必ずしもそうではないような気がします。少なくとも完全には無にならないと思います。というのは申請書は同じ分野(近い分野?)の複数の専門家に審査されるため、自分が行いたい研究は如何に面白いかを大きくアピールしなければならない。時には自分が面白い研究テーマだと思っても、もしかするとどこかに落とし穴があるかもしれないと言うような不安が確かにあります。審査にかかればその不安が解消されることが期待できます。もし申請が採用されれば、自分が考えている研究テーマの面白さがある程度共有されることになり、更に自信がつきます。逆に採用されなかった場合、自分が考えていることのどこかにやはり落とし穴があるのか、或いはその面白さを十分にアピールすることができなかったかもしれません。いずれにしても、審査員の指摘を吟味しながらもう一回自分の研究テーマを考え直す必要となり、更に成熟した研究テーマを再提出することが期待できます。
 投稿論文を書くのも同じことです。雑誌に印刷されるまでは複数のレフェリーに審査されるが、如何に論文を落とすかがレフェリーの仕事なので、なるべく落とし穴がなく、十分にアピールした論文を作成しなければならない。従って、科研費の申請は、論文投稿と同じ、一回審査してもらえると思えば、結果がどうであれ、研究者にとって必要ではないかと思います。勿論、良い結果であることに越したことはないので、申請が採用されることを期待しながら、今年も良い年であるように。



[DNAから共進化を探るラボ 研究員 蘇 智慧]

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