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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【電車通勤にて】

中山忠宣

 はじめまして、4月からラボラトリーセクターでお世話になっている中山です。私は家から生命誌研究館まで約1時間半かけて電車通勤しています。この時間が長いか短いかはさておき、公共交通機関で通勤ないし、通学をするのは生まれて初めての経験です。基本的に乗り物好きなので電車通勤も始める前から楽しみの一つでした。最初の頃は人込みの中にいるだけで、なんとなく疲れるような気がしていましたが、最近は慣れてきたせいか人込みもさほど苦にならず、むしろ読書などできる有意義な時間と思っています。
 さて、今回はこの電車通勤の中で感じたことを書いてみたいと思います。電車を利用していてなにより驚いたのが新快速(及び快速)電車の存在です。田舎育ちの私にはそのスピードの速さにも関わらず特別料金がいらないのに感激しました。個人的な感覚では特急電車とあまり変わらないようなスピードに感じます。とても便利で通勤の往復のほとんど、新快速電車か快速電車を利用しています。ただ、やはりみなさん考えることは同じようで当然それらの電車は混み合っています。だから少し落ち着いて読書をしたい時などはわざと少しの区間だけ各駅停車の普通電車に乗ることがあります。普通電車は普通電車でゆったりとした気分で移動できるので個人的には好きです。
 そんな感じで普通電車にゆられながら気分良く読書をしていたときの出来事です。「ガタガタガター!」と窓の外を何か駆け抜けていきました。何事かと思って窓の外を見ると新快速電車が普通電車の横を追い越していったのでした。どうやら普通電車の通る線路のすぐ横に新快速電車用の線路が通っているようです。新快速電車に追い越されたことを知った時、なぜか「しまった」と思ってしまいました。何が“しまった”のかというと、普通電車よりも新快速電車の方が速く目的地に到着したのに、普通電車に乗って失敗したととっさに思ってしまったのです。もともとそんなことはわかっていて普通電車に乗車したのに新快速電車に抜かれていくのを目の当たりにし、そのように感じてしまいました。気にしなくていいのについつい隣が気になってしまったわけです。これではせっかくの普通電車のゆったりとした空間が台無しですね。
 時代の変化が急速であるとよく言われます。周りが早いペースで流れていくとついつい自分も乗り遅れないようにと焦燥感にかられる時があります。でも、そんな中でも周りを気にせず、ふと立ち止まって空を見上げられるような、そんな余裕を少しは持っていたいなと感じました。せめて普通電車のゆったりとした空間の中では。



[昆虫と植物の共進化ラボ 奨励研究員 中山忠宣]

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