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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【優勝の瞬間】

尾崎克久

 あまり規模の大きくない学会は、事務局を担当する先生が所属している大学が開催地になることが多いものです。毎年そういった学会の定期大会に参加していると、図らずも全国のいろいろな土地を巡ることができ、研究者にとって密かな楽しみの一つとなっています。
 応用動物昆虫学会の定期大会が沖縄で行われた年、春の選抜高校野球で沖縄代表校が順調に勝ち進み、会場となった琉球大学では学会そっちのけで野球中継で盛り上がっていました。ここぞとばかりに野外で昆虫採集をしている参加者も多く、口頭発表の会場は大会参加人数の割にずいぶん閑散として見えました。長くはない開催期間中に見事に沖縄代表校が優勝を果たし、記念パレードで交通が麻痺状態になり、大変な思いをしたのを覚えています。
  大阪で暮らし始めて3年目、タイガースが圧倒的な勢いでリーグ優勝を果たしました。優勝を決定した日は、ちょうど暑くもなく寒くもなく、家の窓を開けていると快適な陽気でした。試合中継を見てタイガースの応援をしているご近所さんたちの声が、スタジアムの臨場感を思わせるような盛り上がりで聞こえていました。幸運にも、タイガースが優勝する瞬間の関西の盛り上がりを体感することができました。日本シリーズは残念な結果になりましたと一応書いておきますが、長嶋さんの現役は知らなくても王さんの現役は知っている世代としては、小さくなりながら密かにホークスの応援をしていました(ボソッ)。
  必ずしも外国の方が高水準とは思いませんが、研究者としてまだまだ孵化幼虫程度の未熟者にとって、将来のために一度海外で研究経験を積んでおくのは魅力的だと感じています。行き先は英語圏の方が得るものがあるとか、やっぱり研究テーマの魅力を最重視しようとか、行ける当てもないのに思いを馳せることも良くあります。訪れた土地で優勝の瞬間に遭遇する確率が高いと思っておきたい私としては、次はドイツに就職先を見つけて、サッカーワールドカップでドイツ代表が優勝する瞬間に遭遇するのもいいではないかと妄想を膨らませています。



[昆虫と植物の共進化ラボ 奨励研究員 尾崎克久]

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