1. トップ
  2. 語り合う
  3. 自然の国のルール(憲法)を考える展覧会に是非

中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

バックナンバー

自然の国のルール(憲法)を考える展覧会に是非

2019年4月15日

今日は皆さまに是非いらして下さいというお願いです。東京品川にある原美術館で「THE NATURE RULES 自然国家 Dreaming of Earth Project」という展覧会が4月13日(土)に始まりました。7月28日(日)まで続きます。

発案・構成は私の友人である韓国の女性アーティスト崔在銀さんです。これまでにもいろいろなところで紹介してきましたが、朝鮮半島にある非武装地帯、つまり38度線を囲んで北へ2キロ、南へ2キロの地域は66年もの間人間の手が入っていないのでみごとな自然の国になっています。具体的には絶滅危惧種106種を含む5057種の生きものが暮らしているのです。ここをそのまま残し、南と北の間に橋をかけてそこに残っている貴重な植物の種子バンクや生物研究所を設け、南北両方の研究者が共同研究をするところにしようというのがこのプロジェクトです。世界のアーティストの作品を置き、それを楽しみながら散策する道にもなります。5年ほど前から具体的な活動を始め、今回はその構想の展覧会です。アーティストたちの作品も示されています。構想を始めた頃は“Crazy”と言われたそうですが、今や南北をつなぐ話は政治の世界で浮上しています。そこで「最も政治的な場を政治を抜きにして自然から考える」という挑戦的なことになってきました。開発業者の手が入らないようにする必要もありますし。

展覧会には私もちょっと参加し、自然の国について
みんな違ってみんな同じ
アリもスミレも人間も
これがこの国のルールです

一つの祖先に始まり
長い長い時間をかけて
創りあげられた生きものたち
みんな違ってみんな同じ
これは生きものの国のルールです

生きものの星地球
みんな違ってみんな同じ
これは地球のルール・・・では

と語っています。原美術館は品川の住宅街にある個人の邸宅で建物や庭も含めて楽しめます。残念ながら2020年秋には閉館とのことですので、美術館を見ておかれるのもよいのではないかと思います。 よろしくお願いします。

中村桂子の「ちょっと一言」最新号へ