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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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嘘をついてはいけません

2018年4月2日

子どもの頃を思い出すと、ふつうに元気にしていれば結構という雰囲気の中で楽しく過していたなあと思います。家の中での唯一の約束は、「嘘をつかないこと」でした。嘘をついていると人間として品がなくなる。それはとても悲しいことだからと言われました。

もっとも大嘘は得意で、夜寝る前に弟や妹に作り話をしていましたけれど。私は貰われっ子で、他に家があるという話が得意でした。ただその家が、ある時は大金持、少したつと貧しくて苦しい家になったりするので、最初はびっくりして涙を流していた弟や妹もだんだんお話として楽しむようになりましたから、実害なしと公認されていたのでしょう。

嘘をつくと品がなくなる。今それを実感しています。それにしても、国を動かす役割の人々があそこまで品格を落とすとは驚きです。なんという国だろう。なんだか仕事の意欲まで落ちてきて、なんと端迷惑な人たちかと腹を立てています。この嘘はちゃんと明らかにして、ふつうに楽しく暮らせるようにしていただかないと本当に迷惑です。

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