ちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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20世紀型の競争を続けたら

2017年10月16日

スポーツは楽しいですし、心身の健康によいに違いありません。私もたまにテニスをやるとスカッとして、これはスポーツでしか味わえない気分だなあと思います。ただこの頃気になるのは選手たちのケガが多いことです。体操の内村航平選手が本番中にケガで棄権しましたし、テニスの錦織圭選手も試合中に体を痛め全米オープンを欠場しました。なんだか痛々しい感じです。ちょっとタイプは違いますが、お相撲でも横綱、大関が大量欠場という事態になりました。野球ではダルビッシュ、田中、大谷と若い有能な選手がケガに悩まされ、苦労しています。

私の同世代の選手を思い浮べると、あまりケガの話を聞かなかったように思うのです。西鉄ライオンズの稲尾投手など日本シリーズでの連投という驚くような活躍をしましたが、ケガとは縁がなかったのではないでしょうか。「参加することに意義がある」というキャッチフレーズで始まった近代オリンピックですが、スポーツの世界も競争が激しく、そんな雰囲気ではありません。こんな言葉を言ったらなんと古くさいと鼻先で笑われてしまうのがオチでしょう。

たまたま、選手のケガが気になってスポーツで考えましたが、20世紀型の競争を続けていくことがよく生きることにつながるのかなと思うことが多くなりました。若い人たちが懸命に闘う姿は魅力的ですけれど、オリンピックは、それを動かすお金の競争もあって、どこか本質からずれているという気持が強くなっています。

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