ちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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姿勢が大事よ — ノンチの言葉

2015年9月15日

「日本に帰ってきて気になるのは姿勢が悪くなっていることね」。いつものキッパリ口調で言うのは高校の同級生野尻命子(ノンチ)さん。ローマを拠点にヨーロッパでお茶を教えているのですが、ヨーロッパとお茶という接点ゆえに、独自の経験とそこから得た考え方は今とても大事なことを教えてくれます。夏には毎年日本に来るので、一度BRHへ行きたいと以前から言ってくれていたのが、やっと実現しました。東京芸大の油絵科卒業後のイタリア留学の時に、裏千家から時間があったらヨーロッパの人にお茶の紹介をして欲しいとお道具一式を託されたのが始まりとのこと。手探りの中、関心を持ってくれた作曲家、詩人、科学者、哲学者などに見せたお点前が好評で、当時(1970年代)近代の行き詰まりを感じていたヨーロッパの人たちとの交流が深まります。彼女はお茶を、禅と共にあり日本人の精神性を形にしたものとして伝えていきます。ですから座禅をし、心を整え、姿勢をよくすることから始めるのです。今ではヨーロッパ中からお声がかかり、とびまわる日を送っている彼女が、一年に一度帰ってくる日本から、ヨーロッパの人が憧れる"精神性"が失なわれているのが悲しいと嘆きます。

お腹にしっかり息を吸いこんで腰を据えていないとダメ。以来、私も姿勢に気をつけています。

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