ちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【よくやっているなあと改めて思いました】

2012年5月15日

中村桂子

心臓は1日に10万回コトンコトンとはたらいているんですね。別に珍しいことではないでしょうと言われそうですが、先日それを改めて感じましたので。

実はあるきっかけで珍しく主治医を訪れました。健康管理をお願いしておきながら、日常何も考えずに暮らしており、失礼ばかりしているのにまさに珍しく伺ったのです。お願いしたのは、心臓検査です。母が晩年心臓を悪くしましたし、兄がバイパス手術をしていますので、どこか気になるところがあるとすれば心臓なのです。

ところで、お伺いしたきっかけを聞いた先生はニヤニヤしながら、でも気になる時は調べた方がいいのでとおっしゃって「24時間心電図検査」をして下さいました。終日、電極をつけてあちこち歩き回った結果は白。当面面倒な検査は必要ないでしょう、気分よく暮らして下さいと言われました。

でも・・・先日JR高槻駅で新快速に乗ろうとダッシュしたのです。この駅は電車までがちょっと遠く、ホームを40mほど歩かなければならないのですが、そこを思いきり走ったというわけです。幸い乗れたのはよかったのですが、胸がドキドキ、息はハアハア、まわりの人にわからないようにとなるべく平静を粧いましたが、暫くドキドキでした。

先生それはどうしたら・・・答は、そういう時は次の電車にすることですね、でした。確かに。車掌さんも「かけ込み乗車は危険です」と言っていますものね。

その時に見せていただいたデータに拍動数100,500とありました。1日は1,440分、1分に70回としてちょうど100,000回ですからわかっている数字なのですが、具体的に見ると「いやあよくやってるなあ」と実感がわいてきました。臓器、細胞、更にはその中の分子がどうはたらいているかはいつも考えているはずなのに、我が身となると平凡な数字がちょっと特別に見えてくるものですね。

データに現実感を持たせること、科学の表現のコツはこれかなと思ったものです。

【中村桂子】

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