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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【愛づるからつながりへ】

2012.1.16 

中村桂子館長
前回、生きものの研究をしているグループの現状を報告しました。具体的な内容を見ていただけましたでしょうか。それぞれなかなか面白いので是非観て下さい(このところちょっと押しつけがましいですね)。
 表現のグループの昨年の仕事の中から一つあげるとすれば、「エルマー・バイオヒストリーの冒険」です。これについては昨年の9月30日に書きました。ちょっと戻ってみて下さい。その時は今年が辰年であることに思い到りませんでした。エルマーが助けに行くのは、「そらいろこうげん」に住むりゅうの子どもボリスです。まさに辰です。子どもなので飛べずに動物島に落ちてしまったわけです。今年のシンボル展示として皆さんに楽しんでいただきたいと思います。それにしてもうまく合ったものだと、こういう小さなことに幸せを感じます。
 現在進行中は、「愛づる展」です。堤中納言物語の中の「蟲愛づる姫君」はBRHのシンボル・キャラクターで、「愛づる」は私たちの自然・生命・人間に向き合う姿勢の基本。しばらくの間、館内にお姫様がいらっしゃらない状態だったので、研究紹介と重ねて六曲の屏風に仕立てようと奮闘努力中です。「奮闘努力の甲斐もなく」とならないようにします(お正月にトラさんを見たものですから、つい)。

 実は今日、小包みが届き、中から藍染めのフワフワ座布団が出てきました。松阪の小学校6年生達からのプレゼントです。卒業式にお母さんたちに贈ろうと、まず藍染めに挑戦、体育館に綿を広げて初めての綿入れをして仕上げたものです。写真を見ると、おばあさんが教えて下さっている様子。きっとおばあさんも楽しかったでしょう。三つ余分ができたので、その一つを私に送ろうということになったのだと先生からの手紙にありました。実は、小学校6年生の国語の教科書に書いている「生きものはつながりの中に」を読み、皆が手紙を書いてくれ、私がお返事を書いたのです。以来、まさにつながりができ、すてきなプレゼントをいただくことになりました。早速椅子に置き、フワフワ感と子どもたちの暖かい気持とに包まれながらこれを書いています。こいつぁ春から縁起がいいわえ(お正月に歌舞伎を観に行ったものですから、つい)。

 【中村桂子】


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