中村桂子のちょっと一言
館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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2002.10.1 

【5000万種もいらない?】
 
中村桂子館長
 先日、ある官庁の方に生命誌のお話をする機会をもちました。地球上の生きものは、祖先を同じくする仲間であり、40億年近い時間をかけて現在の姿になってきたこと、現存の生物は5000万種もあると思われること、という生命誌の基本についてお話ししたところ、思いがけない質問が出たのです。「5000万種もいらないんじゃありませんか」一瞬戸惑いました。これまで考えたこともないことだったからです。「でも存在してるんですから・・・・・」苦笑いしながらお答えしましたが、これってかなり大事なことですね。
 私たち人類がこの世に登場した時には、5000万種(これは決して正確な数ではありませんが100万というオーダーではないことは確かだと思うので、この数を使います)の生きものたちが生態系を作っていた。その一員として生まれてきたのが私たちです。どうぞよろしくと御挨拶をして、仲間の一つとして生きていくのが礼儀というものでしょう。それぞれの生きものにはそれなりの生き方がある中で、人間はかなり勝手と言われてもしかたのない生き方をしていますので、もう少し他の生物への配慮をした方がよかろうというのが私の受け止め方です。5000万種もいらない・・・・・それはそうかもしれません。でもいるとかいらないとかと言うものではないのではありませんかということです。
 「生きもの」を基本にした社会づくりという考え方は、極くあたりまえのことと思っていましたが、人間を中心に置いて、必要か必要でないかだけですべてを判断していくという考え方の方が主流なのかもしれない、少なくとも霞ヶ関や永田町のあたりではそうなのだろうということに気づきました。でも・・・・・やはり「生きもの」で行こう。改めて思ったことでした。


【中村桂子】


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