中村桂子のちょっと一言
館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。
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2002.9.1 

【ゆったり時間を大切に】
 
中村桂子館長
 今年は、研究館を始めてから初めて週末から次の週末まで続けて9日間の夏休みをとりました。とはいえ、草取りをしたり、書きものをしたり、本を読んだり、CDを聴いたり、時々友だちとお茶を飲んだりという、日常とそれほど違わないことをしているうちに終わってしまいました。でも、時間の流れがいつもとは違い、新幹線に乗るのが面倒な気分になって・・・結局月曜日にはやはり新幹線の中だったのですが、まだ少しあの気分よかったなあという気持が残っています。
 お休みの間に和田誠さんとお食事を御一緒して、「パパラギ」という絵本をいただいたのも原因かもしれません。1920年代ヨーロッパを訪れたサモアの酋長の話をスイスの詩人が書いたというもので、「パパラギ」(白人)が物にこだわり、機械にふり回され、お金を求めて走り回る様子が淡々と描かれているだけなのですが、3回も読み返してしまいました。もちろん日本に暮らす私たちも今はパパラギですから。怠けるのでなく、ゆったりした時間をもつ暮らし方を探したいとつくづく思います。

P. S.  実は8月の間、日経新聞のホームページの中で、読者とのメールのやりとりをお引き受けしました。クローンとか遺伝子組換え作物とかの話が出てくると、短い文章でそれを説明するのが大変で苦労はします。でも、とにかくやりとりがあると、専門外の人はどんなことに関心があり、どんなことを考えているのかがわかり、なるほどと思うことがあります。この欄も、“ちょっと一言”ということで、私からの発信ですが、出しっ放しは張り合いがありません。読んで下さってふと思ったことがあったら書き込んで下さい。それを参考に次を書くという形で展開していきたいと思います。

P. S. の P. S.  それにしてもプラハの動物園のゾウやライオンは可哀想。第二次大戦の終わり頃に空襲がひどくなり、上野動物園で動物たちの餌に毒をまぜて殺したこと、その時賢いゾウは毒のついたお芋を選り分けてしまうので、結局餓死させたという話を思い出しました。8月15日に秋山ちえ子さんが朗読し続けた「かわいそうなゾウ」の話。それも秋山さんが85歳におなりになったので今年で最後とか、朝10時半にラジオのスイッチを入れてじっと聴きました。
 プラハの洪水は天災かもしれませんが、その根本に人間の行為があるような気がしてなりません。ノアの洪水では動物たちは船に乗せることができたのに、文明を誇る現代人には救うことができなかったのですから、とても悲しくなります。もっと謙虚に暮らす方がよいのにと思います。


【中村桂子】


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