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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【本物の創造性】

1999.1.1 

 三内丸山についての話題はたくさんあります。直径1mの柱で建てた大きなやぐら、縄文ポシェットと呼ばれる可愛い編みものの袋、骨で作った針(糸を通す穴がきれいにあいている)などなど。しかし、私が一番興味をもったのは漆塗りの容れものや櫛です。
 漆塗りはもちろん今でも日本にとって重要な技術(漆器はjapanと言われるくらいですから)。堅ろうさを与え、腐敗や湿気を避けられると同時にみごとな装飾性をもつ天然の塗料として素晴しい・・・漆について今なら簡単にこう言えますが、最初はどのような発想でこれを探し、また実用化していったのでしょう。ふしぎです。
 大きな木を柱にする、角に穴をあける、つるを編むはどれも眼の前にあるものを工夫して使うのですが、それとはちょっと違う発想がないと漆はみつからなかったと思うのです。しかもかぶれるのですから。角に穴をあけるという程度のことではなく、漆を探りあてるくらいの創造性があったら、今なにができるのだろうと考えています。
 御意見聞かせて下さい。

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