生命誌の広場

みなさんからのご意見

中村桂子のちょっと一言

人間とは何か、どう生きるのが幸せか…

投稿日:2019.01.16 名前:井上道代

 更科功氏の『絶滅の人類史』を、興味深く読みました。ホモ・サピエンスは、20数種類いた”人類”の最後の1種に過ぎないことや、進化の長い道のりを知ると、やはり人間は自然の一部だとの思いを強くしました。又、自然の一部でありながら、その進化の道筋(必然と偶然の織りなす道)の不思議さ、そして(他の人類に比べて)その歴史の短さ・かつ地球への影響力の大きさを改めて思い、現状に対する不安をやはり感じてしまいます。
 直立二足歩行という他の生物がしなかった選択を偶然?成功させ、石器を作ることを通じて脳と手を共進化させ、集団の力を生かし進化した脳を使うことで、言語・コミュニケーションを駆使して、個の力を空間的にも時間的にも超えたホモ・サピエンス。でも今は、この地球上での存続について、自らの中に不安を見出している。
 人間は、生物だからやはり生きていきたい。子孫も絶えてほしくない。それが、大前提ですよね。持続可能な環境の中で、幸せに生きたいし、子孫にもそうであってほしい。それに尽きると思います。ただ、持続可能な環境を保つのが難しい現状をどうしたら解決できるのか。幸せに生きるとは、どういうことで、どうすればいいのか。ですよね。  幸せ…。数多の幸福論があり、一人ひとりの背景によって感じ方も異なるので、定義はできないかもしれませんが、人間独自のものとして、いくつか言えると思います。(生きることの基礎としての欲求が満たされることは前提として、)進化の基礎となった、手と脳を使って達成感を得ること。社会と関わり、コミュニケーションを通じて喜びを得ること。これらが満たされない諸問題に、地道に対処していくとともに、自然とのかかわり、農の営みは、館長のおっしゃるとおり、絶対に大切と思います。自然と関わる中でこそ、植物などが育つ日々の変化を、見て触れて気づいてこそ、自然の凄さ・不思議さを、感情レベルでストンと納得できるのだと思います。
 目的とデータを正しく入力すれば、最適解を提示すると言われる、AI。《正しい目的とデータ》とは、なんでしょう。考えていきたい問題ですね。


お返事

投稿日:2019.01.17 名前:中村桂子館長

とても大事なことを書いて下さってありがとうございます。
前にも書いたかもしれませんが、私は二足歩行のきっかけが自分が手に入れた食べものを仲間(家族)に持って帰ることだったという説が気に入っています。私たちは優しい気持から始まったということですから。そこでこの気持を生かすことが生きものとしての人間だと思っているのです。幸せもそんなところにあるかなと。「優」という文字は優秀という時にも使われますが本来は優しいであり、イ(人)を憂うると書いてあるわけで。そんなところから、昨年は「ふつうのおんなの子」を考え続けました。今年もその延長でと思っています。今年もよろしくお願いいたします。

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