館長中村桂子からのご挨拶:2015年
ごあいさつ:2015年
「ようこそBRHへ」
 新しい年が始まりました。
 実は、今年から年度が1月〜12月となりました(これまでは4月〜3月)。子どもの頃から、4月の桜と共に始まり3月に終るというパターンできましたので、慣れるまでに少し時間がかかりそうです。
 昨年のSTAP細胞騒動に象徴されるように、今科学の世界は揺らいでいます。一つは、学問の基本です。自然科学という名にふさわしい知であるためには、17世紀科学革命で生れた「科学」をそのまま継承するのでなく、新しい展開をしなければならない時に来ているのに、それをじっくり考える雰囲気がありません。生命誌研究館はそれを求めています。少数とはいえ本質を考えようとしている仲間はいてくれますので、一緒に新しい知を探っていきたいと思います。
 もう一つは、社会全体のことです。小さな組織ですから、社会へ向けての活動を本格的に行なう余裕はありません。けれども、「人間が生きること」を大切にせずに、格差を広げている今の社会のありようは、生命誌のコンセプトにはまったく合いません。格差社会を変えることにつながるような生命誌の発信を続けていきたいと思います。
 今年の動詞は「紡ぐ」です。綿・まゆ・羊毛などから繊維を引き出し撚りをかけて糸にするのがこの言葉の意味です。先日、オーストラリアのアボリジニの研究をなさった文化人類学者の上橋菜穂子さんに「糸を紡がれたことあります?」と聞かれました。残念ながらありません。フワーッとしているものに撚りをかけると強いものになっていくことが指でわかり、紡ぐってこういうことなんだと実感するとおっしゃるのです。そこで、「異世界の物語を紡ぐ」国際アンデルセン賞受賞の物語作家上橋菜穂子が誕生したというわけです。紡いだ糸だからこそ二次元、三次元の世界を織りあげていくことができるんだと改めて納得しました。
 とにかく、しっかりした糸を紡ぐことが今年の課題です。このホームページに書き込んだり、館を訪ねて下さったり、一人でも多くの方が糸紡ぎに参加して下さることを願っています。とくに書き込みは、お家でも電車の中でもできますから是非。
(2015年2月1日 JT生命誌研究館館長 中村桂子)
Greetings
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