館長中村桂子からのご挨拶:2004年
ごあいさつ:2004年
「ようこそBRHへ」
 「生命誌研究館」の活動を理解し関心を持って下さる方がふえているという実感はあるのですが、よく“高槻ってどこ?”と聞かれます。JR京都線の京都と大阪の間、しかもちょうど眞中で、どちらからも15分足らず、駅からは徒歩10分足らず。便利な所です。ぜひいらして下さい。
 東京にあればもっと活動がしやすいでしょう。でも、科学技術と経済万能の時に疑問をもち、「生きものの面白さを知り、生きているということについて考え、生命を大切にする社会づくりにつなげる場」として研究活動をするには、東京から離れている方がよい面もあります。生命が関わるのは食べもの、健康、環境、教育など生活そのものですから、地域性が生かせます。大阪府であり、高槻市であることを生かした地道な活動を大事にしたいと思います。
 実験研究のグループと表現法を研究してものづくりをするグループの協力が研究館の特徴ですが、年を追って、この二つの関係が非常に深いものであることがわかってきました。研究成果を適確に美しく表現して、多くの人に共有できるものにするというところから出発し、さまざまな試みをした結果、次の二つが見えてきました。一つは、研究現場から出された大量のデータを実際の生命現象とつなげるには、それを言葉や絵画(含、映像・CGなど)でいかに表現するかという研究が不可欠であり、実験研究と表現研究との共同による新しい研究スタイルの探求が必要だということ。もう一つは、研究成果を統合して物語りを産み出し、新しい生命観、自然観を提示すること。この二つは、「生きものの面白さを知り、生きているということについて考える」ために大事なことであり、研究館の特徴が大いに出せることなので、今年はこれを試みます。表現は単なるコミュニケーションではなく、生命を知る本質だということがわかってきたのは発見でした。もう一つ、「生命を大切にする社会」に向けての活動の具体化も進んでいます。今年は、大学と協力して生命誌を基本にした生命観、人間観の教育を考えます。
 「愛づる」、つまり本質を見つめた時に生れる愛は、生命誌の基本として今年も大切にしていきます。
 カードとWebと本という形での外部への発信は、相変わらず賛否両論です。方法も内容も検討の余地がありますが、まだどこでも試みていないこの方法の利点、欠点を見極めるためにももう一年続けます。
 二十万羽の鶏を埋めたことが象徴する私たちの生き方は、眞剣に考え直さなければいけないでしょう。岡田節人特別顧問の「あの現場に花を供える人がいなかったことを忘れない」という重い言葉を基本にして今年も活動していきます。多くの方に一緒に考えていただきたいと思います。御意見、御助言、更には活動への参加をよろしくお願いいたします。
(2004年5月1日 JT生命誌研究館館長 中村桂子)
Greetings
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